2006年06月25日 稲本正(トヨタ白川郷自然学校校長、オークヴィレッジ代表)
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「環境問題は大変な状況だ。しかし、いくら法律が整備されても、新しい技術が開発されても、それにかかわる人々の意識に大改革が起きないことには展望が開けない」。世界の森林を知り、現在、トヨタ白川郷自然学校の校長を務める稲本正氏に環境再生の糸口を聞いた。

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自然、伝統文化、環境技術の融合
■自然学校が目指すものは?
環境問題は大変な状況になっている。このままいけば、人類が滅びるのは当然と言える。しかし、環境問題において、いくら法律が整備されても、どれだけ環境技術が開発されても、それにかかわる人々の意識に大改革が起きないことには展望が開けない。こういうふうにすればよくなるという成功モデルをつくることが重要だ。
物事が社会現象になるにはいくつかのステップが必要になる。まず、イノヴェーターと呼ばれる新しい概念に真っ先に飛びつく人がいて、その人たちが発見したモノや事を、アーリー・アダプターと呼ばれる新しい動向に敏感なオピニオン・リーダー的な人たちが取り上げなくてはいけない。この人たちに評価されると、アーリー・マジョリティー(初期追随者)、レイト・マジョリティー(後期追随者)が現れ、社会現象に発展する。
環境問題はまだ、アーリー・アダプターの段階。アーリー・マジョリティーまで持っていくためにも循環型モデルをつくることが大切。
■参加者に期待することは?
押し付け的な教育は絶対にしたくない。楽しみながら何かを気付いてもらえればいい。
近代文明がどんどん発達してきて、人間が幸福になれるかと思ったが、化石資源に囲まれた生活は、実のところあまり心地よいものではなかった。もう1回、自然素材に囲まれた環境と健康にいい生活を見直し「素材のいいものが手に入るためには自然がいい状態でなくてはいけない」ことを考えてほしい。
その上で、ここを訪れた人に、多少なりとも気持ちいいと感じてもらい、彼らが家に帰って同じような場所をつくりたいと思ってもらえたら何よりだ。
日本の伝統文化の中には、自然素材を使ったすばらしいものがたくさんある。そこに新しい環境技術、例えば燃料電池や、風力発電、太陽電池を融合させれば、人類は自然と共生ができ、未来が開ける。
■「地域との共生」もテーマに掲げているが?
共生の前にまず共存を考えることが大切だ。新しい施設ができると、どうしても地元とバッティングして喧嘩になってしまう。だから、うちでは、料理をフランス料理にして地元との差別化を図ったり、地元民宿は和室なので、こちらは完全に洋室にしている。
つまり、白川と違ったものをつくることによって、地元との共生の第一歩が始まると考えている。
自然学校にも、地元雇用のインタープリターやパートがいるし、地域のお祭りに参加したり、田植えや茅葺の葺き替えにも人を出している。講演などで有名人を呼べば、無料で地元の方々を招待している。
急に外から来た人と、最初からそこにいた人が一緒にやってうまくいくはずがない。ただ、こうした取り組みにを続けることによって、少しずつ理解されてくるだろうし、一緒になって地域を活性化させていくことは必ずできる。
逆に、地元にも、白川村にしかつくれない農産物や林産物を育てるなど頑張ってもらいたい。こうした地場産業をしっかりと築いていくことで、環境と健康にいい町を、自然学校と白川村が一緒になってつくりあげていくことになる。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年06月25日
