紙面紹介

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2006年08月15日 第113号

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REPORT
2万世帯すべての電力賄える

 環境を切り口とした地域づくりが確実に活性化につながっている事例がある。愛知県田原市だ。太陽光・風力発電の導入が進み、19年3月末の発生電力は市内2万世帯の年間消費電力量を、すべて賄える数値になる、という。風力だけの売電収入は現在、年間数億円にもなる。再生可能エネルギー・リサイクル・省エネ導入といった総合的な施策の展開により、10%の温室効果ガス削減を目指しながら同時に、地域活性化へもチャレンジする。田原市の戦略的な取り組みにスポットをあてる。

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STUDY
コンパクトシティはCO2を削減する

 まちづくり3法見直しを受け全国の自治体は「基本計画」策定に着手することになるが、同計画では地球温暖化対策も1つのポイントとなりそうだ。「コンパクトシティー」へのまちづくりが、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に効果があるため。環境省は「計画」に温暖化対策を加えた地域に対する支援を考えており、19年度予算に、そのための事業を盛り込む予定という。

WORLD NEWS
21世紀の国際都市として成長する上海

 2003年、森ビルは一時中断していた上海における世界トップの超高層タワー「上海環球金融中心」プロジェクトを再び始動した。
 森ビルの森稔社長は2004年の年頭所感で、このプロジェクトについてこう語っている。
 「上海(環球金融中心)プロジェクトは、六本木ヒルズを外国につくるようなものですが、(日本にはない)難しい問題が多々あります。それを見事にこなしていければ、開発能力は見違えるものになります。世界のディベロッパーとして認められるのです」
 森ビルの上海プロジェクトは決して平坦ではなかった。高い障壁に挑戦し、それを乗り越える道のりであった。97年のアジア通貨危機の影響により、基礎工事が完了した段階で工事の中断が余儀なくされた。5年ぶりにこの難局を乗り越えた直後の森社長のことばには万感の思いがこもっていた。
 森ビルはなぜ、上海に世界一の超高層タワーを建てるのか。国際都市として成長する上海はどこに向かい、森ビルはどのような役割を果たそうとしているのか。現地からレポートする。

FEATURE
自治体「破綻」ラッシュの前兆 夕張市の次はどこだ

 約600億円―。これは、6月20日に、国に対して財政再建団体の指定を申請した夕張市の負債総額だ。炭鉱の閉鎖から、ピーク時には12万人いた人口は1万3000人にまで激減。企業が撤退していく中、ホテルやスキー場を市が買収し、公社や第3セクターが企業に代わって運営し、強引に衰退した地域を活性化させようと採算性を無視した事業を展開してきた。
 その結果、市の負債は600億円まで膨れ上がった。市では、財政調整基金の切り崩しや、金融機関の一時借り入れ金の乱用などにより、表面的には毎年度、黒字を確保。山のように積もった借金は、隠し続けられてきた。
 次に危ない自治体はどこか―。本紙では、全国地方自治体の財政指標を分析し、財政状況が厳しい自治体を探ってみた。

TOPIC
住民参加型GISで地域の魅力再発見


 地域の情報発信や、住民同士の交流などを目的とした地域ポータルサイトが各地に誕生している。しかし、現実には、サイトの維持・管理に多大な手間と費用がかかり、そのわりに、地域住民にすらほとんど見てもらえないといったケースもあるようだ。住民が「見たい」情報を充実させた、住民の生活に役立つポータルサイトを作るためにはどうしたらいいのか―。 
 愛知県東郷町では、住民が企画したイベントを、住民自らが自由に情報発信したり、PTAや消費者グループが活動日誌を公開し合うなど、「住民主導」の地域ポータルサイトが動き出している。
 サイト上に公開されている町の地図には、道路や建物はもちろんだが、住民が利用したい情報、例えば、子供にとって危険な場所・その写真、郵便ポストの位置と集配時間、市内巡回バスの停留所と時刻表などが表示される。住民や学校、商工会、郵便局などが自由に地図データを活用して、それぞれが持つ情報を地図上に書き込んでいるのだ。

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2万世帯すべての電力賄えます

2010年の温室効果ガス削減目標マイナス10%

 田原市内に導入された太陽光・風力発電から発生する年間発電量は現在、合計5200万kwh。市内1万5000世帯分の年間消費電力量を賄える。19年3月末までには新たに13基もの風力発電施設が建設され、この発電量を含めると市内全世帯2万(人口6・6万人)を上回り、3万世帯分にもなる。自らの地域で生み出した自然エネルギーで1自治体の全世帯電力を賄える、全国的に見ても先進地だ、といえそうだ。
 太陽光発電は合計出力規模が1600kwで年間発電量は200万kwh(18年3月末)。内訳は、市公共施設などへの導入(26施設合計200kw)と、一般住宅など(375軒合計1400kw)。一般住宅への普及率は全国トップクラスとのこと(持家世帯の3%)。市の「たはらソーラールーフ2525(にこにこ)プラン」では、2010年度の出力規模を2525kwとし、年間発生電力300万kwhを目指す。クリアすれば、80万l(ドラム缶4000本)の石油消費を削減し、約2000tのCO2を抑制できる効果を持つ。
 一方の風力発電は、大型・小型含め現在(18年7月末)、22基存在し、出力規模は2万5300kwで、年間発電量は5000万kwh。
 風力発電だけの売電収入は年間数億円規模になるという。
 市環境部エコエネ推進室の渡辺澄子室長は「市が設置した蔵王山展望台の風力は300kw規模で売電収入は年間1100万円。維持管理費などを差し引くと、毎年750万円が利益として市の財源になっています。民間企業が展開しているものも含め市内には22基が存在し、その売電収入は年間数億円程度。(設置工事費・維持管理費含め)確実に市への経済効果が生まれていると考えられます」と説明する。
 環境効果も確実に発生している。
 年間5000万kwhを生み出している風力によるクリーン電力は、結果的に年間3万tのCO2を削減していることになる(予測)。
 田原市では環境と経済が両立しているのだ。

「環境共生のまちづくり」に選ばれる
課題解決のため未利用資源の活用を

 自然・再生可能エネルギー導入などは市が15年度にまとめた「エコ・ガーデンシティ構想」に基づいている。
 「構想」に基づき16年3月に市がまとめた「たはらエコ・ガーデンシティ推進計画」では、「菜の花エコ」「廃棄物リサイクル」「エコ・エネルギー導入」「省エネルギー推進」「コンパクトシティ」「グリーン・ネットワーク」「エコ・インダストリー」の7プロジェクトを推進している。
 目標は、温室効果ガス削減と、未利用資源の活用などによる地域の活性化だ。
 特に環境では平成22年度(2010年度)で温室効果ガス10%削減という数値目標を掲げた。
 市は平成10年度にエコ・エネルギー導入ビジョンを策定。11年度からは太陽光発電に対する助成制度(kwあたり15万円補助、上限60万円)を開始。14年度からは低公害車導入補助事業をスタートした。
 15年6月には内閣府都市再生本部に「エコ・ガーデンシティ構想」が認められ、「環境共生のまちづくり」に選ばれる(全国167件の応募の中から7件が選出。各省庁の事業で支援)。16年3月、「推進計画」を策定。同計画に基づき事業を進めている。
 渡辺室長は「当市は農業産出額が760億円(16年統計)で全国自治体のトップ。製造品出荷額は約2兆円(16年同)で全国の13位と、農工のバランスがとれています。ただ、風が強く雨が少ない、という自然条件をかかえ、市内を流れる汐川は水質汚濁で平成2年に全国ワースト1に選ばれてしまったんです。(17年10月の渥美町との)合併後、遊休農地は683haにまで拡大、もともと盛んだった畜産業からは日2000tもの排出物が出ています。こうした地域課題を解決するため、これまで悪条件と考えていたものを未利用資源と位置付け、自然エネルギーなどに活用することを考えました。海外からの石油が途絶えても自給できるまでにしたい、という思いがあります」と述べている。

投稿者 machizukuri : 更新日2006年08月15日

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