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2006年10月05日 第118号
REPORT PPPのビジネスモデル 全国初!特区活用で『特養』運営
官民が力を合わせて事業展開するはずの第3セクターが、「官民の馴れ合い」により、相次いで悲惨な状況に陥っている。民間の経営の厳しさなど、微塵も感じられない経営実態が全国各地で新聞紙上をにぎわす。そんな中、採算が厳しいと言われる山間地での福祉事業で1400万円もの純利益を上げ、税金を納め町財政に貢献している3セクが岩手県にある。全国で初めて特区を活用して特別養護老人ホームを運営する褐笈、サービス公社だ。成功のポイントは「聖なる領域」とされる福祉分野にメスを入れた町と、民間企業を上回る経営努力で利益を上げる3セクの「真の協働」だ。
NEWS ユニバーサルワークスがアクセシビリティー調査 あなたの自治体のwebサイトは見やすいか?
ユニバーサルワークス(静岡県三島市、清家順社長)は、全国47都道府県、15政令指定都市、静岡県内42市町すべてのwebサイトを対象としたアクセシビリティ(見やすさ)調査を実施した。
その結果、地域別で良好なアクセシビリティが確保されているのは、北海道・東北では宮城県、関東では神奈川県、北信越では新潟県と富山県、近畿では大阪府と京都府、中・四国では鳥取県と香川県、九州・沖縄では鹿児島県となった。また、15政令指定都市ではさいたま市、名古屋市、堺市、北九州市が高評価だった。調査結果は同社のwebサイト(http://www.u-works.co.jp/jichitai/)で公開している。
FEATURE ポイントカードでまちづくり革命 1兆円市場を社会貢献に役立てろ
ベンチャー企業のサイモンズは、氾濫するさまざまなポイントカードシステムを一元化し、「どの店で商品を手に入れてもポイントがたまり、どこでも使える」など、消費者にとって利便性が高いシステムを開発した。期限切れとなり、実際には使われないで無駄になっている「ポイント=お金」は、すべて社会貢献活動に寄付するという。加盟店にとっては、独自システムより、維持管理費が大幅に軽減されるなどのメリットがある。これまでに、北海道や岡山で約1000件の店舗が加盟、会員は15万人にのぼる。今後、首都圏や全国の地方都市での普及を目指し、数年内に加盟店5000〜6000、会員300万人の体制を築きたい考えだ。
INTERVIEW 東京農工大・柏木教授 バイオマス燃料開発は活性化の切り札だ!
地域再生のエースと言われる「環境・エネルギー」。これを生かした、まちづくりの考え方は?東京農工大の柏木教授にインタビューした。
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全国初!特区活用で『特養』運営
年間1400万円の純利益
人口1万6400人、高齢化率が30%に達する岩手県一戸町では、本来、採算性が望めない小規模な福祉事業で、第3セクターが年間1400万円もの利益を上げている。法人税、住民税、事業税の3税の合計は502万円にものぼる。
町財政に貢献するこの3セクが褐笈、サービス公社。主な事業は、平成12年の介護保険スタート時から取り組んでいる居宅介護サービスと、平成16年4月から開設した定員20人という小さな特別養護老人ホームの運営だ。
特養の運営は、法律で自治体か社会福祉法人に制限されている。が、同社は平成15年11月に内閣府の特区(公設民営型小規模多機能福祉特区)の認定を受け、全国ではじめて株式会社ながら特養の運営に踏み切った。
社会福祉法人の独占でいいのか?
中山間地における福祉事業は、1人の高齢者の送迎に1時間以上もかかるなど、なかなか採算が望めない。加えて、20床という小さな特養の運営は「常識的に考えれば経営は成り立たない」(福祉施設の経営者)と言われるほど厳しい。
それを裏付けるかのように、特養施設の運営を民間事業者に開放させた同特区への注目度は意外にも低い。内閣府構造改革特区推進室によると、一戸町のほかに同様の特区を活用しているのは北海道乙部町だけで、国への要望もほとんど挙がっていないという。
若干の補足をすれば、現状の特養の建設・運営は、ほとんどの自治体の場合、社会福祉法人が取り組んでいるため株式会社が参入する必要がないというのが実情。その背景には、社会福祉法人は法人税や固定資産税が非課税にされるなど優遇措置が受けられ、さらに福祉施設の整備や退職手当に対して行政の手厚い支援制度があるなど、ビジネス色が薄い事業にも取り組みやすいという事情がある。
半面、社会福祉法人への過度な事業委託は、国や自治体にとっては財政悪化に拍車をかける危険性を秘めている。
一戸町では、介護保険のスタートと同時に、褐笈、サービス公社を設立し、福祉事業における社会福祉法人の独占市場にメスを入れた。稲葉暉町長は「聖なる領域とされる福祉に、金儲けの株式会社を入れることには批判もありましたが、メスを入れられる部分はメスを入れる。それが町民の税金を有効に使うということです」と語る。
3セクの資本金は2500万円で持分は町が56%で、残りが民間の福祉企業。社長には一戸町の吉川達男助役が兼務で就任した。
同社は、徹底した労務管理や物品購入費の圧縮などにより開業2面目から黒字を達成した。初年度こそ苦戦したものの、今では町の出資金に対し、5%の利回りに相当する年間70万円(一株2500円)の配当を実現している。
株式会社が特養を運営
平成16年に褐笈、サービス公社が、特区を利用してまで特別養護老人ホームの運営に踏み切った背景には「入居施設の不足」という地域が抱える大きな課題があった。
町にはもともと、社会福祉法人が運営する2つの介護施設(特別養護老人ホームと老人保健施設)があったが、これらは恒常的に満床の上、50人もの待機者が出るほどで、特養の整備が急務とされていた。「国は介護保険料を払えば、いつでも面倒を見てもらえると説明していますが、現状は地域によって大変な格差があり、入居施設が不足している地域もあるわけです」(吉川社長)。
一方、一戸町を含む1市4町村の広域圏における福祉施設の整備計画では、広域圏全体で入所定員60人分の施設を新たに整備することが盛り込まれ、町では、そのうち20床が割り当てられていた。
しかし、「たった20床という小規模特養を運営するのはどんな事業者にしてみても経営的に成り立たない」との課題が立ちはだかった。
既存の社会福祉法人へ委託する方法、新たに社会福祉法人を設立して運営を任せる方法なども検討されたが、いずれも補助金頼みになることが懸念された。
そこで考えたのが、すでに居宅介護サービスを行って黒字を出している結愛サービス公社に、それまでの事業と一体的に特養の運営を任せる方法だ。
特養は、公社と併設する形で、行政が2億3000万円ほど支出して建設(グループホーム9床も併設)。運営は結愛サービス公社が行う「公設民営」型だ。
町の期待を受け、結愛サービス公社は、健全経営を実現。今期(17年7月〜18年6月)は売り上げ3億4600万円、当期純利益で1439万円を計上した。施設の建設費も、同社が、20年で返済する予定だ。
健全経営の秘訣
採算が難しいといわれる山間地における福祉事業、さらには小規模の特養運営で、同社が利益を出し続けている最大のポイントは何か?
吉川社長は、「人件費の削減」と「職員のモチベーション向上」という相反する2つの要素を挙げる。
職員の基本給はヘルパーなら1月13万円〜15万円、看護士で16〜18万円。これに手当てが加わるとは言え、お盛事でも「高い」とは言えない。しかし、同社では、海外研修や、福祉資格の取得に向けた学習・研修などを無料で職員に提供することで、給与とは違ったインセンティブを与えている。例えば福祉先進国であるデンマークへの研修派遣には、毎年3〜4人を送り出している。
会社にしてみれば研修費用の負担があるが、職員を自前で育成することで、結果的に外部から人材を受け入れるための費用を削減できる。例えば、通勤手当や住宅手当なども不要になるので、トータルで見るとかなりのコスト効果につながるというわけだ。
そして「職員のモチベーションの向上」には、職員が自分たちで利用者からお金を集める仕組みを取り入れている。
会計担当者は置かない。各部署ごとに料金を徴収する。「十分なサービスを行っていれば、お客様にいい顔をしてもらえるし、そうでなければ嫌な顔をされる」。こうした積み重ねがサービスを向上させ、利用者を増やしている。
ボーナス時には100項目もの自己採点が支給額に反映される。
「職員にもとめるのはプロ意識」(吉川社長)。人づくりこそ、3セク成功の秘訣だ。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年10月05日
