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2006年11月25日
第123号

REPORT 歴史文化ストックをどう生かすのか? 岡山県高梁市吹屋ふるさと村
歴史・文化的資源を地域活性化につなげる施策を全国に先駆けて展開した岡山県。昭和49年度からスタートした「ふるさと村」事業がそれで、代表格が銅とベンガラのまち・吹屋ふるさと村(高梁市・旧成羽町)だ。日本全国で同じ切り口でのアプローチが高まりを見せつつある。歴史・文化的ストックを生かした経済対策は今の日本にとり究極の課題ともいえる。ただ30年以上前から、いち早く施策展開している岡山の事例は、ピーク時に14万人の年間観光客を集めながら最近は半分以下に落ち込み、苦戦を強いられているように見える。市町村合併による周辺化が要因だ、という指摘もある。岡山県の施策にスポットをあて、その課題などを浮き掘りにすることで、今後の展開の参考としたい。
NEWS 地域ストック生かし活性化へ 国7省が支援施策まとめる
国は地域の自然環境・伝統文化ストックを生かした活性化を支援している―。
「都市と農村漁村の共生・対流」※をテーマとしている都市と農村漁村共生・対流関係省連絡協議会(農林水産省、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省の7省で構成)は「既存ストック活用逆引集」(18年度版)をまとめている。地域の自然環境・伝統文化などの地域資源(既存ストック)を有効活用することにより地域再生・活性化を図るアプローチを支援する事業をまとめた。18年度は32事業。農水省の元気な地域づくり交付金(415億円の内数)や、文科省のふるさと文化再興事業(7億円)などを挙げている。
防災 これが企業生き残りのカギだ 富士通の事業継続マネジメント
情報システムベンダーの富士通鰍ヘ、2004年以降大規模災害が連続して起こっており、企業の防災・危機管理対策の重要性が増していることから、事業継続計画BCPの取り組みを強化している。同社は、社内でリスクマネジメントの実践を教訓に、製造、金融、化学、食品流通などあらゆる業種に対し、事業継続マネジメントBCMの重要性を訴えている。
シリーズ CSR・SRIで地域再生 メセナは地域再生になる! 蒲ム原グループ
メセナ(企業の芸術文化支援)活動が地域再生・まちづくりに直結している事例が岡山県にある。蒲ム原グループによるものだ。食品・医薬品製造の研究開発型企業でありながら、地元に美術館をつくり、学術・芸術のイベントを開催し、岡山駅前の再開発にも取り組もうとしている。企業戦略に位置付けており、慈善事業とは、まったく異なる考え方を持つ。企業の文化支援が本業に回帰し、同時に地域再生にもつながっている。蒲ム原グループのアプローチにスポットをあてる。
INTERVIEW 志田勤JNB会長 地域再生・まちづくりにビジネスチャンスあり
地域再生・まちづくり分野でのビジネス化にアプローチしている社団法人・日本ニュービジネス協議会連合会(JNB)※会長で、e連携フォーラム代表の志太勤氏(シダックス渇長)にインタビューした。
★★★まちづくりメッセ閉幕★★★ 各セミナーで熱い議論
「まちづくりの多様な担い手大集合!」をテーマに、当社は11月15日〜17日までの3日間、東京ビッグサイトで「まちづくりメッセ2006」を開催した。
「団塊シニアのまちづくり」「耐震補強フォーラム(防災の国民運動を目指して)」「地域再生交流セミナー(地方から発信する地域再生プロジェクト)」「都市再生塾(地方の時代、市街地再開発事業のゆくえ)」の各セミナーでは、講演者と会場を埋め尽くした参加者が、熱い議論を繰り広げた。
団塊世代の問題も、耐震化の促進も、地域再生・都市再生も今の社会に求められている重要なテーマ。しかし、これらが一般市民を巻き込んだ「まちづくり運動」として展開できているかといえば、残念ながらごく一部にとどまる。まずは市民、大学、NPO、あるいは企業が、すべてまちづくりの担い手であることを自覚し、その上で、ボランティアとしてではなく、広い意味での「ビジネス」として取り組むことが、ブレークスルーのポイントになるのではないか――。そんなヒントがセミナーの中には多くあった。
会場には、同時開催の「Japan Home+Building Show2006」などを含め、全国から約9万1000人が来場。出展ブースでは、国の省庁や団体、耐震や環境の先端企業が、まちづくりに役立つ制度や製品、システムなどを披露した。
歴史文化ストックをどう生かすのか?
岡山県は昭和49年度から全国に先駆け県単独の「ふるさと村」事業※を始めた。県内の歴史文化的資源を指定、保存復元に対し助成することで、地域活性化につなげる。7地区を指定し、平成12年度で終了している。
同事業を導入した銅とベンガラの鉱山のまち吹屋は、その代表的な場所だ※。
合併で周辺化、下降傾向に?!
保存復元だけではダメだ!
吹屋は県がスタートした年に「ふるさと村」を導入。昭和52年には国の「重要伝統的建造物群保存地区」(以下重伝建地区)※にも選定され、その後も各種補助事業を取り入れながら、町並み保存復元により、観光活性化に取り組んできた。
施策展開の結果は、統計を取り始めた昭和54年の年間観光客数(施設入館者数)578人から徐々に増え始め、昭和58年には1万人を突破、平成元年には10万人を超え、ピークの平成7年には年間14万人が訪れるまちとなった(表)。
映画「八つ墓村」のロケ地などで脚光を浴びたが(平成8年)、その後、徐々に観光客数は下降線をたどり、平成11年からは7万人〜8万人台を推移、平成17年には6万台にまで減少してしまった。
「ふるさと村」事業の中で村長に位置付けられている長尾有子さん(77歳)は減少傾向の理由について「1番は人不足。住民はみんな年寄りばかりです」と、あきらめに近い言葉を発する。アクセス(標高550mの山間地)や、ものづくりの気風を挙げる声もある(基本的に商業のまちではない)。
別府大学大学院の大山琢央さんは、重伝建地区を都市部型と村落部型に分類し、かつては中心部(都市型)だった地区が市町村合併により村落型に変わった代表として吹屋を挙げる。
吹屋町として独自の事業展開をしてきたが、昭和30年の成羽町との合併、平成16年の高梁市との合併により、郊外・周辺部となり、振興策が手薄になってしまった、というのだ。
一方、保存復元だけではだめだ、という意見がある。
全国のまちづくりでは最も成功した事例として著名な滋賀県長浜市の轄封ヌ。元社長の笹原司朗さんは「古い町並みを再生しただけでは『死に化粧』にすぎない。生き返らせるためには追求できる文化をまちに埋め込まなければだめだ」と主張する。この考え方に基づき新たな文化としてガラスを選択、黒壁は、所有と経営の分離という手法で、空き店舗活用に挑み、成功させている。
日本全国に残る歴史文化的ストック。今、この生かし方が求められている。国は例えば、地域大学や企業とのコラボレーションを挙げる(地域再生法)。ただ前提は地域の自助努力だ。地域再生は、30年の年月を経て、行政依存型から市民・大学・企業などとの協働型に大きく変化した。そして今、だれが、どう仕掛けるかが問われているのではないだろうか。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年11月25日 | コメント (0)
2006年11月15日
第122号
REPORT 防災のキーワードはDCP 東京駅周辺企業が60万人の帰宅難民を救う
いつ発生してもおかしくないとされる首都直下型地震や、近年多発する集中豪雨。都心における安全・安心が脅かされている。「ミュンヘン再保険」会社の試算によると、東京・横浜の「自然災害リスク指数」は、第2位のサンフランシスコの4倍以上と、世界でも突出して高い。政治経済そして人口が集中する巨大リスク都市を、世界に認められる安全都市に再生するには、行政だけではなく、市民や企業のまちづくり活動が不可欠だ。今号では、首都圏で始まっている行政と企業の協働による防災まちづくり活動、その中でも新たな考え方として注目を集めているDCPにスポットをあてる。
INTERVIEW国土交通省 都市・地域整備局 中島正弘局長 求められるコミュニティーの力
FEATURE 国土交通省荒川下流河川事務所 地域住民にハザードマップ提供
国土交通省 東京国道事務所 災害からライフラインを守る
NEWS 地域ブランド52件を初認定 特許庁
特許庁は10月27日、地域名と商品・サービス名を組み合わせてブランド化を図る地域団体商標、いわゆる地域ブランドについて今年4月に出願された374件のうち52件を初認定した。認定された団体は30日以内に登録料を支払えば商標権を得られる。
地域団体商標は、改正商標法の施行(今年4月)で新設されたもの。従来、地名入り商標は全国的に知名度を獲得したものなどをのぞき、原則として商標登録できなかった。が、新たな制度では、複数の都道府県に周知性をもっていれば登録できるよう要件を緩和した。
特許庁によると10月下旬までで約600件の地域団体商標の出願があり、同庁では引き続き審査していくとしている。
東京駅周辺企業が60万人の帰宅難民を救う
日本のトップ企業が集積する東京都千代田区の大手町、丸の内、有楽町地区(大丸有地区)。
地区内には4000もの事業所が集積し、その年商は日本のGDP(国内総生産)の約2割に達するとも言われている。この地区で今、企業が主体となった防災まちづくり活動が始まっている。名付けて「東京駅周辺防災隣組」。
一帯は、古くから建物の耐震化、不燃化が進み、地震が起きても、原則として住民が避難する必要がない「地区内残留地区」に指定されている。そんな千代田区で問題とされているのが、災害時に押し寄せる帰宅困難者の支援だ。
区の夜間人口は約4万人。これに対し、昼間の人口は企業の通勤者や観光やビジネスで地方から訪れている人を加え100万人近くに達する。
中央防災会議の想定によると、首都直下型地震が正午に発生した場合、都内では約390万人、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県では約650万人の帰宅困難者が発生する。千代田区内では東京都全体の15%以上にあたる約60万人の帰宅困難者が出ると予測されている。地元自治体だけでは帰宅困難者への対応は困難なのが現状だ。
東京駅周辺防災隣組は、こうした課題に解決するために設立された自主防災組織。地権者らで構成する大丸有協議会が平成14年10月に開催した「東京駅周辺・防災対策のあり方検討委員会」(委員長=伊藤滋早大教授)で、地元企業組織が地区の防災活動に対応する必要性が指摘されたことを受け設立に至った。
「各企業では、自社の社員や顧客のためにこれまでも災害マニュアルを整備したり緊急物資を用意するなど災害に備えているが、これらは企業や事業所が当然担うべき自己責任であり『自助』に過ぎない。街として防災力を見た場合、個々の企業あるいは地元行政のみの防災対策ではフォローしきれない課題が山積している」(都市防災研究所著・大量移動時代の安全・安心論より)。コンセプトに掲げるのは、企業が連携して地区の活動を継続させるDCP(District Continuity Plan)だ。
DCPに欠かせない3機能
「安定エネルギー」「安定通信」「安定的なトイレ」
災害が発生した場合、企業の業務継続計画(BCP=Business Continuity Plan)が経済被害を軽減させる上で重要となる。従来型の「企業防災マニュアル」が人命・安全確保を目標としているのに対し、BCPは防災対策の目標を『業務継続』に置く。具体的には、電源や通信網の保守、バックアップシステムの整備などがそれにあたる。
しかし、現実問題としてBCPはほとんど普及していない。その理由は、計画策定に膨大な時間がかかる上、ハード整備などに多額な経営資源を投入する必要があるからだ。
そこで東京駅周辺防災隣組が提唱しているのがDCP。地区内の事業者同士、あるいは公共と民間の間で協調的な対策を行うことで、地区全体の防災力、業務継続性が高まり、結果として個々の企業におけるBCP策定のハードルも低くなるという考え方である。
例えば「インシュリンがないと生きていけない方々にとって、かかりつけの薬局のBCPは生命に関わる問題だが、実際に一軒の薬局だけでBCPはできない。ならば地区全体でBCPを考える必要がある」(財団法人都市防災研究所事務局長・守茂昭氏)。
特に重要な機能として守氏は「安定エネルギー」「安定通信」「安定的なトイレ」―の3つを挙げる。
「これら3つの機能が揃えば地区の機能はかなりの水準で保たれるだろう」(同)。しかし、実際問題として、誰がこれらを確保するかといった問題は宙に浮いている。
「行政が特定の地区にトイレや通信を整備することになれば、行政の公平性において問題になるだろうし、企業が出資し合えるだけの経済合理性を確立することは容易ではない」。
ただ、こうしたノウハウを日常的に共有化しておけば、例えば新しく企業がビルを建築する際、断裂がおきない下水の継ぎ手技術を導入したり、上水がとまっても下水が流れる仕組みを取り入れるなど、DCPの概念に近づけることは可能になると守氏は考えている。
ソフト面では、公衆回線に頼らない非常用通信手段の確保や、帰宅困難者への避難・帰宅情報提供の仕組みづくり、建物開放のルールづくりなども重要な要素になる。
大切なのは「地区固有の事情によりDCPのあり方は変わる」ということ。それぞれの地区が、住民や企業、行政の連携により、地域の特性に応じたDCPを考えていくことが求められている。
防災をビジネスにする
東京駅周辺防災隣組に加入するのは、三菱地所や日本政策投資銀行、東京電力、エヌ・ティ・ティ都市研究所ら62社。毎年開催している帰宅困難者避難訓練には、多い時で3000人近くの市民が参加する。今年は外国人の帰宅困難者を対象に訓練を実施した。
「被災時にどこまでスタッフが集まれるかという問題はありますが、帰宅困難者にどちらに行ったらいいかアドバイスができる状態はつくりたいと思っています」(守氏)。
東京駅周辺防災隣組では、こうした訓練にとどまらず、日常的には勉強会や防犯活動などを展開する。
活動の中で、提案されたアイデアはBRP「ビジネス・ルーリング・プラットフォーム」というテーブルにプールし、機会を捕らえて実現が図れる仕組みになっている。防災対策をビジネスとして展開できる場を設定することで、参加企業にインセンティブを与え、事業の継続性を高めているのだ。
国や区も地域住民の活動に期待する。国土交通省都市防災対策室では、「都市防災総合推進事業」を導入し地域住民の活動を資金的に支援している。同事業は、住民参加のまちづくり活動に必要な経費の3分の1を補助するというもの。
国土交通省都市・地域整備局の中島正弘局長は「東京駅周辺防災隣組のような企業や市民が主体となったまちづくり活動は周辺地域にも広がりつつある。例えば足立区では、地域住民と行政がまちづくり協議会を結成し、防災まちづくり勉強会、まち歩きによる防災上の危険な個所の点検や自治会による避難所運営訓練などを実施している。発足当初は行政主導であったが、最近は住民側からの具体的な提案により活動を見直すなど住民主導の活動にシフトしてきている」と評価する。
区では平成16年1月に、東京駅周辺防災隣組を地域協力会として行政上の防災組織として位置付けた。「被災時には応援要請させていただくこともあるし、必要な情報を提供するなど、できる限り協力させていただく」(千代田区防災課)。
高橋誠一郎課長は「こうした防災のまちづくり活動は、安全、安心といった地域のポテンシャルを高めることにもつながる。ビジネスの場としての魅力だけではなく、住む場所としての千代田区の魅力も生まれる」と期待する。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年11月15日 | コメント (0)
2006年11月05日
第121号
REPORT 自然エネルギー最前線 全国初、市民出資の木質バイオマス熱供給事業
岡山県備前市で全国初とされる市民出資による木質系バイオマスを活用した熱供給事業が進められている。地元木材などを燃料としたストーブやボイラーを住宅や事業所などへ提供、機器リース代含めたサービス料と燃料代から収益をあげ出資者へリターンを図る。「経済的には灯油を使ったストーブなどの方が優位な場合もある」(担当者)などの課題はあるが、同時に「自然環境への理解、ゆとりや癒し効果、地元雇用によるメンテナンス体制」といった経済性以外のメリットが期待できる。
INTERVIEW 自然エネルギー市民ファンド社長 鈴木亨氏 市民出資エネルギー事業は金融がミソだ!
市民出資のエネルギー事業を展開し、これまで3000人から17億円の出資を仰いでいる且ゥ然エネルギー市民ファンド社長の鈴木亨氏。出資を成功させるポイントは何か聞いた。
シリーズ CSR・SRIで地域再生 建材に植物を植え付けた壁面緑化資材
ヒートアイランド現象の緩和や、省エネ、騒音対策、建物の保護、そして街の景観形成にも貢献する商品がある。株式会社ヒューネットが販売する壁面緑化資材「植栽断熱発砲タイル」だ。従来の造園技術を用いた壁面緑化とは異なり、同商品は、建材であるタイルに直接コケを植え付け一体化させた新しい概念の緑化資材。信楽(しがらき)焼きの老舗である近江窯業(滋賀県甲賀市)が開発したもので、焼き物の伝統文化を環境技術に応用した。
全国初、市民出資の木質バイオマス熱供給事業
平成17年12月に発足した備前グリーンエネルギー梶i備前市)※が進める「太陽と森のエネルギー事業」は、グリーン熱サービス事業と省エネルギーサービス事業で構成する。事業期間は10年〜15年。総事業費は10億5000万円。
内訳は、グリーン熱6億6000万円、省エネ3億9000万円。事業に必要な設備投資のための資金は市民出資により4億9000万円、4億5000万円は国からの助成でまかなう(総事業費との差額1億1000万円は事業収益から)。助成は17年度で選定された環境省の「環境と経済の好循環のまちモデル事業」交付金だ※。
グリーン熱事業は、太陽熱温水システム、ペレットボイラー、グリーン熱(まき・ペレット)ストーブを通じた熱供給。省エネ事業は、省エネ設備導入と、その維持管理。
こうした事業により毎年2億円前後の売上を計画している。
市役所省エネは年間233万円のコストダウンに
CO2削減量は10年間で約6000トンになる想定も
複雑な事業のうち今回の目玉は地元産の木質系バイオマスを活用した熱供給事業だ。資源エネルギー庁がまとめた「2030年のエネルギー需給展望」の中でも地域活性化をテーマとしたバイオマス熱利用がポイントとされている。ただ事業化が難しいという声があることも事実。
「太陽と森のエネルギー事業」はどうか?
具体的にグリーン熱サービス事業のうちの「ストーブ」を見ると、機器リース代、煙突工事費、メンテナンス代含めた費用を定期的なサービス料支払いとして受ける形になっている。
備前グリーンエネルギー鰍フ武本洋一専務は「規模により異なるが一般家庭では月額6000円〜8000円程度の支出になる」という。サービス料の支払いは年間を通じたもの。ここに冬期に使用する燃料代として月額5000円程度が必要になるという。他熱供給事業も基本的には同じで、機器リース代を含めたサービス料や燃料代から事業収益を得る。
一方、省エネ事業は高効率機器を導入することなどによりエネルギーコストを下げ、(機器設置イニシャルコストを含めた)維持管理サービス料の形で収益を確保する。18年7月からは備前市役所のサービスが開始されたところだ。備前グリーンエネルギー鰍フレポートによると、高効率の空調・照明機器導入による省エネにより、年間233万円のコストダウンが図られる見込みだという。
全体事業計画では、1台60万円〜90万円の太陽熱温水システムを100台、1台100万円〜3000万円のペレットボイラーを90台、1台50万円〜150万円のグリーン熱ストーブを100台、そして1件10万円〜6000万円の省エネ事業を140カ所に、それぞれ導入する予定としている。
備前市内の全世帯数は約1万5000。このうちの0・7%にあたる家庭や事業所100軒程度での展開が当面の目標だ(各サービスは重なる)。
18年10月現在、ストーブ導入は10台が決まっているという。省エネは市役所がスタートしている。事業計画書によると2006年度では1億2000万円の売上を見込む(表)。
なお省エネ事業ではこれまで公共施設や老人福祉施設、民間事業所30軒以上を対象に仮診断を実施している。このすべてで事業が展開された場合、10年間のCO2削減量は約6000トンになるという。
4・9億円の市民出資は3月から全国を対象に公募をはじめ現在、1・6億円が集まったところ(10月現在)。1口10万円が2・1%の利回り(契約期間10年)、1口50万円が2・6%の利回り(契約期間15年)を、それぞれ目標とする。募集は継続しており集まり次第終了させる。
武本専務は従来の市民出資と比べ「風力発電などのようにシンボリックで事業内容がわかりやすいものと異なり、複雑で見えにくいといわれる。サービス料がどう設定され、収益がどのくらいあり、どう分配するのか?そこを良くPRしなければならないと思っている」と打ち明ける。
さらに武本専務は「経済面の比較では、例えばまきストーブは従来の灯油ストーブとの競争が難しい。ペレットストーブは燃料をいかに安く供給できるかが競争の条件を決める」と明らかにする。
しかし最後に同専務は「当社のサービスは環境・循環型社会への寄与、ゆとり・癒し効果、地域人材による維持管理といった経済性以外のメリットが大きい。いわば『備前スタイル』といった(木質系バイオマスエネルギーなどを利用する)生き方の提案をしていることでもある。21世紀型の市民エネルギー事業を評価いただきたい」と締めくくった。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年11月05日 | コメント (0)
