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2006年12月25日
第126号
NEWS 政府が地域活性化ナビゲーターを派遣 安部政権の目玉! 平成の御用聞きサービス
政府は、これまで各省庁がそれぞれ進めてきた地域活性化に関する事業を「知恵」「担い手」「資源」「交流」「基盤」の5つの視点から体系化した。自治体にとって地域活性化のメニューをわかりやすくするとともに、関係省庁間の緊密な連携を確保し、施策の総合的な推進を図ることがねらい。インターネットなどを活用した成功事例に関わる情報提供を行うほか、地域活性化ナビケーター派遣制度の創設を検討している。詳細を見る
注目は雇用再生プログラム
さまざまな地域活性化メニューを体系化したことで、省庁連携による新たな地域支援プログラムも期待される。「知恵」については、来年2月をめどに「地域の雇用再生プログラム」(仮称)を策定中。地域の創意工夫(知恵)による雇用創出をねらうもので、地方公共団体が策定する地域再生計画と連動し、地域の取り組みを支援する。具体的には、地域再生本部が関係省庁と調整を行い、各省庁が推進する施策を盛り込んでいく。現時点で36事業の支援施策をピックアップしており、厚生労働省の地域雇用創造推進事業(旧パッケージ事業)など、雇用促進のための人材育成や、地場産業の振興、観光における雇用創出に関する事業が柱になるもよう。
REPORT まち3法の影で 郊外規制で街中はホントに再生されるか?
まちづくり3法改正の動きなどにあわせ、大型店の郊外出店の規制が強まっている。法の施行に先駆け、地方都市では独自に指針や条例を制定する動きも出始めている。他方、長年かけて郊外への出店を模索・計画し、すでに地元調整などを進めてきた大型店の中には、突然の法規制により、出店を断念せざるをえない、といった状況も生まれている。「郊外への出店が規制され、既存市街地にも出店の場所がない。こんな状況では日本経済は滅びる」との強い指摘も出ている。「コンパクトシティの重要性はわかる。が、果たして中心市街地にこだわる必要があるのか。商業施設は人々の暮らしに追随するもの」との声も。法律に先駆け、大型店の進出に規制をかけた長野市にスポットをあてた。
シリーズ まちづくりメッセ2006・セミナー報告C 求められる住民参加の再開発
「再開発」―。この言葉の持つイメージは複雑だ。防災に優れた機能的な都市をつくる手法である半面、大きな道路とコンクリートに固められた無機質な大型施設、あるいは一時的な経済効果をねらった公共事業と考える人もいるかもしれない。しかし、時代のニーズである街中居住やコンパクトシティ、安全・安心という概念を具現化する上で、再開発は欠かすことのできない道具となる。まちづくりメッセ2006では、轄ト開発研究所主催(新建新聞社、COM計画研究所共催)のシンポジウム「地方の時代、市街地再開発事業のゆくえ」が開かれた。都市プランナーの簑原敬氏による講演では、日本の都市や田園地域が社会構造の中で大きく変化しているにもかかわらず、再開発については昔と変わらぬ議論が繰り広げられている現状について厳しく指摘された。パネルディスカッションでは、地方都市で新たな再開発事業に取り組む担当者が熱い議論を交わした。
TOPICS マイクロソフトとシーズが協議会設立 NPOはITで経営力を高めろ!
NPO法人シーズ(市民活動を支える制度をつくる会)とマイクロソフト株式会社は12月6日、NPO・IT推進協議会を設立、記念シンポジウムを東京都内で開いた。NPOが抱えるITの課題を、先進的な企業やNPOの支援団体、IT技術者集団の3者が連携して支援することで、NPOの経営力を強化するとともに、企業にとっての社会貢献活動を充実させる。また、3者のパートナーシップによるシナジー効果(経営の相乗効果)をねらう。
地域活性化の施策を5つの視点から体系化
地域活性化ナビゲーター制度は、これまで地域活性化に取り組みたくても、どんな施策を活用していいのかわからずに手を挙げることができなかったような自治体に対し、相談員を派遣することで、地域の課題や資源などを聞き、実際に使える施策や計画の策定手順などをアドバイスするというもの。「地方主導の時代」と言われながらも、なかなか立ち上げることのできなかった自治体に対し、御用聞きとまでなってサポートすることで、安部晋三首相が政権公約の1つに掲げる『地域活性化』に本腰を入れるものと思われる。
具体的な活動内容は、内閣官房に設けた地域活性化に関する検討チームが検討を進めており、関連省庁や民間でチームをつくって地域の状況に応じた人員を選出、派遣する方向で調整に入っている。このうち、民間メンバーについては、すでに地域の第一線で活躍する観光カリスマ(※)や地域再生マネジャー(※)などの起用を考えている。
検討チームでは、年度内には制度の詳しい説明会を開き、自治体に呼びかけられるよう、メンバーの選定などを進めていく。ナビゲーター制度とは別に、これまでの成功事例・成功プロセスをデータベース化し、インターネットを活用して情報発信するシステムや、自治体からの相談窓口のワンストップ化なども併せて準備していきたいとしている。
団塊を地域活動へ
ソーシャル・キャピタルに期待
政府はまた、地域活性化の基礎を支える「地域の担い手」(ソーシャル・キャピタル)についても支援を拡充させる。「団塊の世代」の退職などが始まることもふまえ、防犯活動などの地域活動に参加しやすくする。
具体的には、財政面も含め自治会や非営利活動法人(NPO)などへの支援の枠組み整備。企業、大学、NPO、行政が連携して地域の発展や課題解決に取り組めるよう新たなネットワークも構築する。
想定する活動は防犯パトロールや公園や道路の管理、地場産業育成のチャレンジショップなど。19年2月末をめどに当面のプログラムと今後の検討方針をとりまとめ、夏には法的枠組みの整備も含め、さらなる施策の充実を図りたい考え。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年12月25日
2006年12月15日
第125号
REPORT 漁業管理の国際認証「MSC」 京都魚連が日本初の取得―地域ブランドにも―
若狭湾からとれる京都産ズワイガニ。昭和40年に400トン近くあった漁獲量は昭和55年には56トンまで急減してしまった。京都府漁業協同組合連合会は禁漁期間・禁漁区を設定するなど計画性ある資源管理型漁業を導入、この結果平成11年には194トンにまで回復させた。環境との共生行為を広くアピールする方法として漁業管理の国際認証「MSC」取得を18年度内に予定している。取得できれば日本はもとよりアジアにおいても初の事例になるという。水産資源の世界的な枯渇傾向を背景に、持続可能な漁業の実現をテーマとした認証制度は、市場開拓やブランド化につながる。森林管理の国際認証「FSC」に続いて登場した「MSC」にスポットをあてる。
NEWS 新地方分権構想検討委が最終報告 地方共有税の創設などを提案
全国知事会など地方6団体で構成する「地方自治確立対策協議会」が設置した「新地方分権構想検討委員会」(委員長・神野直彦東大教授)は11月末、今後の地方分権改革の方向性を指し示す最終報告をまとめた。三位一体の改革の議論などを踏まえ、分権型社会の実現に向け、これから始まる「第二期地方分権改革」の具体的な方策などを提案。地方の参画や、地方税財政制度の再構築(税源移譲や地方共有税創設)などを盛り込んだ。
シリーズ まちづくりメッセ2006・セミナー報告 団塊シニアのまちづくり
1947年〜49年生まれの「団塊の世代」は670万人いる。さらに1950年、51年の2年間を加えると1100万人、つまり日本の人口の約10%を占めることになる――。
まちづくりメッセ2006で行われたセミナーでは、地域創造ネットワーク・ジャパン専務理事の田中尚輝氏が「団塊シニアとまちづくり」と題して講演した。
BCPとまち継続は一緒にやれ
まちづくりメッセ2006・セミナー「事業継続計画(BCP)」では、京都大学の丸谷浩明教授が「事業継続計画とまちの活性化」と題して講演した。
漁業管理の国際認証「MSC」
京都魚連が日本初の取得―地域ブランドにも―
イオン鰍ヘ持続可能な漁業をテーマとした「MSC」のCOC(加工流通過程の管理)認証を取得、平成18年11月から全店でエコラベルの付いた魚介類商品の販売を開始した。認証をクリアしたアラスカ産塩紅鮭・いくら醤油漬などがジャスコ・マックスバリュなど全国660店舗で姿を見せる。環境などに配慮した漁業者からの原料を使い、適切な流通過程を経た水産物商品を(過程の事業者はすべて認証を受ける必要がある)、エコラベルを目安に消費者が選択して購入できる。現段階で認証を受けた日本の漁業者はいないため、海外で水揚げされたものが対象だが、京都府漁連が取得すれば、京都産ズワイガニなども同ラベルが貼付されて店頭にならぶ可能性もある。
消費者に最も近い小売量販店のイオンがMSC制度を導入したことで、同社のブランドイメージ向上はもちろんのこと、漁業者の環境配慮、新たな市場開拓、といった効果が生み出されると予想できる。認証制度は環境と経済が両立できるビジネスモデルとして広がりを見せつつある。
国内認証は10件ある!
世界最大のウォルマートも認証取得
MSC認証制度は、乱獲による世界的な水産資源の枯渇傾向を背景に、「持続可能で適切に管理された漁業」の実現をテーマとして始められた。
WWF(世界自然保護基金)などが仕掛けて運営主体を組織化、1999年に非営利組織・MSCとして漁業認証制度の運営を始めた。具体的な認証審査は、MSCの認定を受けた認証機関が担当する(世界に12ある)。
認証機関の1社「TQCSインターナショナル」(オーストラリア)と業務提携した、唯一の国内資本、アミタ梶i東京)の持続可能経済研究所・田村典江主任研究員は「MSCが定める持続可能な漁業は@資源を枯渇させないA生態系を維持するB社会的ルールに則した漁業を行う―の3原則を目標としています。持続可能であっても、例えばさんご礁など周辺環境を破壊したり、密漁などをしていては認証対象にはなりません」とテーマについて解説、さらに「認証は、漁業者を対象とした漁業管理認証と、加工・卸・小売などの事業者を対象としたCOC(加工流通過程の管理)認証で構成します。認証の基本は漁業にありますが、工業製品を対象とした『エコマーク』と異なり、こちらは自然のままのものなので消費者には見分けがつきません。適切な漁業のサーモンも、密猟サーモンも、味・鮮度などに大きな違いがないからです。そこでCOC認証を導入、流通過程も認証対象として最終的に消費者にわかるようにしたのです」とシステムについても説明する。
現在、日本では、京都漁連が18年度内に認証を受ける予定で、取得すれば日本だけではなくアジアにおいても初の事例になるという。一方のCOC認証はイオンをはじめ国内の10件が認証を取得している。このうち9件はアミタが提携するTQCSIが認証している(京都府漁連の認証事業は提携先のTQCSIが直接担当)。
認証機関による審査期間は、COCが平均1カ月、漁業管理は平均1年かかるという。COC審査は、製品の分別・識別の是非、取り扱い記録の存在などをチェック。一方、漁業の審査は生態系の調査などがあるため時間がかかる。予備審査の段階で認証取得の可能性を判別、本審査に入る。
世界では12の認証機関が存在する。漁業認証は21件あり、多くがイギリス・アメリカ・オーストラリアの漁業者で占められている。「同認証制度を仕掛けたのがアングロサクソンの国々であるためだ」(アミタ)。COC認証はイオンをはじめ世界最大の量販店ウォルマート(アメリカ)も導入しており全世界で200件以上を数える。
認証のメリットについて田村主任研究員は「今年2月に、ウォルマートは天然魚介類の調達にMSC認証を条件とするとリリースしました。認証を取得することで同社との付き合いができます。漁業者などは新たな販路開拓が可能となるのです。オーストラリアの認証業者は(ロブスターを扱う)、これでヨーロッパへの輸出が増えたそうです。ヨーロッパの量販店は制度を導入しているところが多いため、仕入れを目的にアラスカの漁業者が認証取得をいそいでいると聞きます。マーケティングツールであり、差別化・ブランド化ツールでもあるのです。テーマである生態系・環境への貢献効果は、経過時間が少ないため(認証第1号は2000年から)データはありませんが、裏付けていくことが、これからの課題です」と述べる。
最後に田村主任研究員は「漁業対象のMSCも林業対象のFSCも基本的には天然資源を持続的に利用することがテーマ(MSCは養殖を対象としていない)。ところが原点的に農業の国際的な認証プログラムが存在しません。そこでアミタ独自の農業像を検討しているところです」と締めくくった。
リサイクルできないものは扱わない
実践的な地域再生事業へ
アミタ鰍フ企業戦略
アミタ鰍ヘ「総合環境ソリューション企業」を目指している。地球上の環境問題を解決することで、収益を得ることを考えている。
同社は1977年(昭和52年)に兵庫県姫路市でスミエイト興産梶i非鉄金属の卸売業)としてスタート。企業廃棄物のリサイクル事業へ発展させる。
同社経営企画室の野口洋室長は「当社のリサイクルソリューション事業は、中間処理業の許可を受けているが、一般的な処理業とは異なる。対象は廃プラスチックから金属くずまでなんでもだが、リサイクルできないもの、焼却・埋め立てしなければならないものは扱わない。リサイクルの一時ストックのために姫路市と茨城県筑西市に工場を置いた」と説明する。
野口室長は「リサイクル事業が順調に進んでいくうちに、ゴミが出るほど儲かる会社になっていた。会社のミッション・テーマとは合わなくなっていた。テーマは地球環境を守りながら企業の収益をあげること。環境ソリューション(課題解決)を行いたいと考えまず1999年(平成11年)からFSCの認証サービスを始めた。廃棄物のリサイクル会社からの転換点だった」と振り返る。
2000年(平成12年)に社名をアミタに変更、2001年(平成13年)に本社を東京へ移し、2006年(平成18年)にはヘラクレス市場への上場を果たした。
現在の同社の事業は大きく、(FSC・MSCの)認証事業、リサイクルソリューション事業、CSR(企業の社会的責任)コンサルティング事業、ドゥタンク事業で構成する。
このうちのドゥタンク事業は持続可能な経済システム構築がテーマ。2005年(平成17年)には持続可能経済研究所を開設、同所が中心となり、自然資源を生かした実践的な地域再生をプロデュースしている。
研究所の田村主任研究員は「今回のMSCやFSCのように社会的仕組みが確立できれば、環境保全と企業の利潤追求が両立できるのです。国がつくる環境規制とは異なります。エコラベルを付けることで生産者や事業者が儲かり、みんなが収益を得ながら、社会全体の環境が良くなる。環境と経済は矛盾しないのです」と主張する。
※アミタ梶′F野英介社長。東京都千代田区。資本金4億5475万円。売上(平成18年3月期)30億6700万円。社員数99人。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年12月15日
2006年12月05日
第124号

REPORT 知ってますか?寄付金をもらう方法 目指せ米国の24兆円市場
複数のNPO法人が集まって「コミュニティ・シェアーズ」と呼ばれる手法により、地域企業や市民から活動資金を支援してもらうための研究会がNPO立県を目指す千葉県の南房総地域で活動を始めている。地域企業・市民に対し、NPOの活動をしっかりと伝え、彼らがNPOに対して何を望んでいるかなどマーケティング調査を行った上で、個別の活動に対する資金支援を求めていく。将来的には、寄付金をもらったNPOが、その成果を寄付者へ定期的に報告、あるいはホームページ上で名前を紹介したりイベントに招くことなどにより、継続的に出資してもらえるよう寄付者を育てていく体制を目指す。
まちづくりメッセ2006 セミナー報告 地域再生交流セミナー
企業のCSR活動を地域再生に結びつけることはできないか?まちづくりメッセ2006では、「地方から発信する地域再生プロジェクト〜企業から自治体への提言〜」と題した地域再生交流セミナー(主催:まちづくりメッセ実行委員会)を開催した。CSRをパフォーマンスではなく本業と位置付けて取り組む企業と、「地域再生計画」という新しい支援策で地域主導のまちづくりを促す国、実際に地域再生に取り組む現場担当者が、本音で意見をぶつけあった。その結果、見えてきたのは「そもそも地域が課題や資源を認識できていない」という実態。地域の課題を明確にすることこそ、企業にとってのビジネスチャンスにつながり、その上で、いかに地域資源を生かすかが、活性化の重要なポイントになることを改めて確認した。このほか、地域再生を進めていく上で、資格者制度を創設する動きなども紹介された。
シリーズ PPP時代の幕開け 行政とのパートナーシップで地域ポータルサイト運営
国や地方の財政状況が厳しさを増す中、新たな地域経営の手法としてPPP(官民パートナーシップ)事業に注目が集まっている。これまで公共団体などに限られていた公の施設の運営は、「指定管理者制度」により民間にも開放され、公共事業ではPFIと呼ばれる手法により行政コストを削減したり、利用者サービスを向上させる取り組みが全国各地で始まっている。こうした中、潟tューチャーリンクネットワーク(千葉県船橋市)は、川崎市と官民協働による地域ポータルサイトを構築した。同社によると、行政とのパートナーシップ協定にもとづく地域ポータルサイトの構築・運営は全国で初。地域のグルメ、レジャー、ショッピングなど民間企業の情報と、公共交通、福祉、防犯、教育など行政情報を一元管理することで、地域住民にとって利便性が高い内容になっている。
NEWS マニフェスト大賞 岩手県議会3会派が受賞
地方議員の政策コンテストと位置づけられたマニフェスト・アワード2006の第1回授賞式が11月10日、東京・竹橋で開催された。存在感の乏しい地方議会にもスポットを当てて、当局との政策論争を活発化するのが狙いだ。地方議員の政策提案力・実行力が選挙だけではなく、「評価の場」として定着するかどうかが注目される。
防災 非常時に使えるコミュニティ無線
(財)移動無線センター(東京都新宿区ほか全国8法人)が提供するmcAccess(800MHz帯デジタル無線)が、コミュニティ無線として地域住民に安心と安全を提供している。地方自治体へは災害時でも必ずつながる防災無線として威力を発揮するほか、民間事業者へはBCP(事業継続計画)の作成とともにエムシーアクセスを導入するケースが増えている。
知ってますか?寄付金をもらう方法
求められるマーケッティング力
コミュニティ・シェアーズは地域の小規模なNPO法人らが連携することで基盤を強化し、企業や市民といった潜在的な支援者のニーズを把握して効果的な募金活動を行う仕組み。近年、米国でも注目を集めている。
南房総地域では、観光や農業などさまざまな専門性を持つNPO法人18団体がこのほどコミュニティ・シェアーズの研究会を設立。現在、地元1000企業に対して出資意向などに関する調査を実施しており、今後、興味を持った企業に対してNPOの活動をプレゼンテーションする機会を設けるなど、地域活性化の担い手であるNPOと、資金の出し手となる企業のマッチングを図っていきたい考えだ。
同事業を仕掛けるNPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(東京都)の松原明事務局長によると、米国では寄付などの資金集めは「ファンド・レイジング」と呼ばれ、NPOに限らず、多くの分野で取り入れられている。
政府税制調査会基礎問題小委員会の推計(17年4月22日開催)では、米国の寄付市場は年間24兆円にものぼる。一方の日本はわずか7200億円。世帯ベースで比べると日本が年間2936円と3000円に満たないのに対して、アメリカは1620ドル(1ドル118円で19万1160円)と60倍以上の開きがある。「教会への寄付」といった宗教・文化の違いもあるが、松原事務局長はファンド・レイジングの手法に大きな差があると指摘する。
これがファンド・レイジングのポイントだ
「寄付」したくなる満足度を提供しろ
■寄付者を育てる
NPO法人シーズの松原明事務局長は「米国でのファンド・レイジング(資金集め)は、一般企業が製品を売るのと同様、マーケティングが基本」と説明する。ファンド・レイザーと呼ばれる専門家が、企業の社会貢献方針や、市民のNPO活動などに対するニーズを調査・分析。NPOらの活動が、誰に対してどのようなメリットをもたらすのか明確にした上で、出資に対する見返りとして、達成された具体的な成果を報告する。
一度に多額の寄付を集めるというより、初回に1000円を寄付してもらえば、次は2000円、その次は5000円と、継続的に出資してもらえるよう寄付者を育てていけるかどうかが、ファンド・レイザーの腕の見せ所となる。しかし、一般的に小規模なNPO法人や市民団体は、信用力が小さく、マーケティング力も十分備わっていないため、単独でのファンド・レイジングは困難。そこで、登場したのが複数のNPOや市民団体が連携する「コミュニティ・シェアーズ」という仕組みというわけだ。
■お金以外の見返りを明確にする
出資に対して見返りがない「寄付」が、本当にNPOの財源として期待できるのか?
こんな疑問に対して松原氏は「当然」と言い切る。その上で、「見返りがないのではなくて、お金の見返りがないだけで、お金以外の形で出資に対する満足度を提供することこそ最大のポイントだ」と指摘する。
例えば飲酒運転撲滅の活動を展開しようとしているNPOの場合ならこうだ。
まず、寄付の対象として考えられるのは、アルコール飲料の製造会社。NPOは、飲酒運転撲滅の運動を展開するとともに、具体的に、どのくらい飲酒運転が減ったか、あるいは飲酒運転の原因などを調査・分析して企業へしっかりと研究成果をフィードバックする。企業単独では、こうした調査は展開しにくいため、それだけでもNPOへの出資意欲が引き出しやすくなる。
実際、アメリカでは、ビール会社が飲酒運転、未成年の飲酒、ドメスティック・バイオレンスの撲滅の運動などに対して巨額な寄付金を出しているという。こうした社会問題の直接的な原因が「アルコール」ではなく、むしろ家庭環境や、教育環境にあるということがNPOの調査などを通じて広くPRされるからだ。
子供の健全育成をミッションとするNPOなら、子供たちのイベントに寄付者を招いて、実際に頑張っている子供たちを見学してもらうことで出資への満足度が得られるかもしれない。常に資金の出し手の立場になって考えることが満足度を向上させるポイントだと松原事務局長は助言する。
別の例では、全米ガン協会のファンド・レイザーが、市民から寄付金を募る手法として、「ガン予防レシピ」なるものを作り配布しているという。専門用語ばかりの研究成果を、誰にでもわかりやすい「レシピ」に変えることで、出資者への満足度を高めてもらっているのだ。
■日本企業には寄付文化がある
中小企業などからの出資は期待できるのか?
松原事務局長は「日本の企業は、昔から、お祭りに寄付をするなど、地域との関わりを大事にしてきた。まちの活性化、地域とのお付き合いは、企業にとって死活問題。中小企業も、明確なコンセプトを示すことができれば寄付は期待できるはず」と話している。
南房総地域で始まったコミュニティ・シェアーズ
18のNPOが研究会設立
南房総地域では、館山市、南房総市、鴨川市の3市を活動拠点とする18のNPO法人がコミュニティ・シェアーズの研究会を立ち上げた。現在、商工会議所などを通じ、地元1000の中小企業に対して出資意向などについてアンケート調査を行っている。
今後は、事務局が複数のNPO法人を連れて興味を示した中小企業を訪問するなど、資金の出し手と、まちづくりの担い手のマッチングを仕掛けていく。
事業は内閣官房都市再生本部の「都市再生モデル調査事業」にも選定されており、千葉県が推薦団体として全面的に協力している。南房総地域を対象とした理由について千葉県NPO活動推進課の町田昌実副主査は「都市部ではない田舎地域で成功すれば、全国でも実現できる可能性が高い」と説明。NPO立県を目指す同県では、具体的な行動計画の1つに、市民活動のための資金を市民が自ら調達する「コミュニティファンド」の創設を掲げている。今回のモデル調査事業が成功すれば、こうした資金調達の手法の1つとして、広く普及を促していきたい意向だ。
投稿者 machizukuri : 更新日2006年12月05日 | コメント (0)
