2007年01月

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2007年01月25日

第129号

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特集 震災に強い街をつくる
コンビニエンスストアは街の防災拠点

身近な存在でありながら、被災時における活躍などについてはあまり知られていないコンビニエンスストア。大手各社は、災害が起きても各店舗が営業を継続できる防災体制を整えつつある。「震災に見舞われたとしても住宅が無事なら、多くの方が自宅で過ごしたいと思うはず。その際、近くのコンビニエンスストアが営業を続けていることはとても大切なこと」。業界全体に対し安全・安心なまちづくりへの協力を呼びかけている株式会社セブン‐イレブン・ジャパン渉外部総括マネジャーで、社団法人日本フランチャイズチェーン協会のCVSセーフティステーション推進委員長を務める塩坂宏氏はその意味をこう説明する。営業の継続は、すなわち地域社会の安全・安心につながる。業界トップの立場から、これまでも阪神淡路大震災、新潟県中越地震と多大な支援を手がけてきたセブン‐イレブン・ジャパンに、被災地支援の考え方を聞いた。

渋滞でも定時配送する物流ノウハウ
リスク回避の積み重ねが事業継続を実現させた

 企業が災害や事故などで被害を受けても、重要業務をなるべく中断せず、中断した場合でもできるだけ早急に復旧させることを定めた計画を、BCP(事業継続計画)と言う。企業を取り巻く経営環境が複雑さを増している中、顧客や株主、取引先などあらゆるステークホルダー(利害関係者)の期待に応えながら、企業の安定的な発展・存続を図っていくためのリスクマネジメントとして、ここ数年、日本でもBCPの必要性が叫ばれている。しかし、BCPの導入には、手間も費用もかかることから、一般企業には、まだまだ普及していない。セブン-イレブン・ジャパンもBCPを策定しているわけではない。が、同社では、長年積み重ねてきたリスク回避のノウハウにより、結果的に、災害があっても各店舗が営業を継続できる事業継続の体制を築き上げている。

ライフライン整備で安全なまちづくり
ミニ共同溝が21世紀の公共事業になる

ライフライン普及協会(横浜市・倉茂勝一事務局長)らは、安全・安心なまちづくりの実現に向け、電気やガス、水道、下水道といったライフラインを、歩道下にコンパクトに収納するミニ共同溝と、生活道路整備の必要性を訴えている。

国交省の小川富由・建築指導課長が講演
「耐震改修促進計画」の策定状況

 NPO法人東京いのちのポータルサイト(理事長=安井潤一郎・衆議)などで構成する耐震補強フォーラム実行委員会は18年11月16日、東京ビッグサイトにおいて第5回耐震補強フォーラムを開催した。フォーラムでは、国土交通省住宅局の小川富由・建築指導課長が「地震に強い住まいづくりの推進」というテーマで講演。その後?「地域で進める耐震補強」というテーマと?「耐震補強の現場を語る」というテーマでシンポジウムを行った。?のコーディネーターは国土交通省の服部敦・建築指導課長補佐、パネリストは東京都の小野幹雄・建築防災担当課長、平塚耐震補強推進協議会の大平延行・会長、墨田区耐震補強推進協議会の岡本博・事務局長。?のコーディネーターはNPO法人東京いのちのポータルサイトの鍵屋一・理事、パネリストは構造品質保証鰍フ五十嵐俊一・社長、鰹Z宅構造研究所の金井健二・社長、潟Pアンズ・コーポレーションの小口悦央・社長、グランデータ鰍フ橋本晋二・社長。その内容から。

被災時の営業継続が住民を守る

セブン・イレブンの取り組みに学べ

 平成16年10月23日午後6時、新潟県中越地方を「震度6強」の地震が3回にわたり襲った。30人以上の死者を出した中越地震である。第一報のニュースが流れてから間もなく、セブン‐イレブン・ジャパンでは、休日にもかかわらず、鈴木敏文会長、山口俊郎社長をはじめ各部門の責任者、関係者が本部に集合し、直ちに災害対策本部を設置した。速報から1時間が経過した夜7時には、被災地への支援内容を決定。深夜までかけ、被災店舗への支援部隊や、被災住民に対する緊急支援物資(おにぎり2万個など)を積んだトラックが、相次いで新潟県内の対策本部に向け出発した。翌早朝にはヘリコプター3基が追加物資(おにぎり6000個など)を載せ現地に向かった。同社の被災地支援は、これが初めてではない。平成7年に起きた阪神淡路大震災では、当時まだ兵庫県内に店舗が無かったにもかかわらず、京都・大阪経由で支援物資(おにぎり6万4000個など)を届けている。

■3種類の支援
 
災害時におけるセブン‐イレブン・ジャパンの被災地支援の方法は大きく3種類に分かれる。1つ目は、避難住民に対し無償で提供する「義援物資」。中越地震や阪神淡路でのおにぎり提供などがこれにあたる(下表)。2つ目は、あらかじめ自治体と締結した物資調達の協定書にもとづき、有償で届けるというもの。平成18年11月現在、6県7市6町と契約を締結済み。また、物資以外の支援協定として、災害時に徒歩帰宅者に対し、水道水やトイレ、道路情報の提供を可能な範囲で行う協定(無償)も1都2府13県8市と締結している(2頁表参照)。そして3つ目が、一般店舗の営業継続。被災住民の物資購入の拠点として、可能な限り営業を続けるというものだ。中越地震後に同社が行った調査によると、被災地周辺の店舗は、平時に比べ、全体的に売り上げが増加したという。それだけ被災時にはコンビニエンスストアに対する社会的なニーズが高まることを裏付けている。セブン‐イレブン・ジャパン渉外部総括マネジャーの塩坂宏氏は「震災に見舞われたとしても住宅が無事なら、多くの方が自宅で過ごしたいと思うはず。その際、近くのコンビニエンスストアが適正な価格で営業を続けていることは、住民が一刻も早く日常生活を取り戻す上で、とても大切なこと」と説明する。

コンビニエンスストアが営業を継続するために不可欠なのが物流の確保だ。同社によると、1店舗あたりの商品の備蓄量は、金額に換算して数百万円。生鮮品に限れば数十万円だという。仮に緊急時に、1人が1万円分の買い物をしたとすれば、数十人分しかない計算になる。しかも、生鮮品の多くは、弁当やサラダなど保存がきかないものばかり。それだけに、営業継続には、被災時でも、店に定期的に商品を配送できる物流システムが不可欠になる。セブン‐イレブン・ジャパンでは、このシステムを、日常的な定時配送のノウハウの中で構築してきた。例えば渋滞などが発生しても、ルートを変更したり、交通手段を変えることで、決められた時間までに確実・迅速に各店舗へ商品を配達している。加えて、各運送車両には移動無線が備わっており、配送センターはいつでもドライバーと連絡が取り合えるようになっている。

■課題は自治体の理解
 
一方で、課題もある。災害時に鉄道や道路すべてがふさがれてしまえば、定時配送のノウハウがあるとはいえ、さすがに店舗への配送はできなくなる。行政が道路の通行許可を出すか否かが各店舗の営業継続に大きく影響するのだ。しかし、自治体の中には「特定の企業のために通行許可は出せない」と、かたくなに協力を拒むところもあるようだ。塩坂氏は「行政の目には、事業継続が地域貢献とは映らず、単なる営業活動に映ってしまう」と首をかしげる。

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2007年01月15日

第128号

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「協働化テスト」で県民満足度ナンバー1を目指す佐賀県
これが21世紀の地方モデルだ!

【古川康・佐賀県知事インタビューから】
「協働化テスト」導入のきっかけは?
3年半前に知事に就任し県政運営のキーワードを「オープン、現場、協働」とした。そのなかの「協働」の実践は、まず県民協働課を設け(16年4月)、本当にこの仕事は県庁がやらなければならないのかどうか検討をしてきた。例えば16年9月に開所した難病相談・支援センターの管理を、難病を抱えた方々で構成するNPO(佐賀県難病支援ネットワーク)に委託した。自分達が対象者である県施設の運営を任せた。自らの課題として対応したため、サービスが向上し満足度が高まった。難病の方々の悩みは半分が就職。NPOは、どの会社なら理解があるかといったアドバイスをしている。いままでは白黒(協働か県庁業務か)を県で決めていた。県民協働課が対象としたものも、各課の抵抗に遭い公務員の仕事になってしまった。そこでルールを変えた。全部一旦、白(協働)だと。手を挙げたものが出てきてから、具体的な担い手の話し合いをすればいいと。こう考えたことがきっかけだ。

県事業を全部公開、提案受付400件近い意見あり
公共サービス担い手選択の新たな手法だ!

 県の全事業をオープンにし、県以外の担い手の在り方について広く提案を受け付けた。その結果、400件近い意見が寄せられた。佐賀県の「協働化テスト」だ。
官民が競争をして事業の担い手を決めるのではなく、情報公開、提案を経て、官民対話により担い手を決めていく。
目指すは「県民満足度ナンバー1」だが、結果的に行財政改革、地域の産業・雇用の創出につながっていく。佐賀県で始められつつある対話型の公共サービス担い手選択の試みにスポットをあてる。

企業が語るNPO支援の選考基準
投資対効果とインパクトを重視

NPOと企業のマッチングが、まちづくり活動を行う上でテーマになっている。
地域の課題解決に積極的に取り組みながらも資金力が十分にないNPOと、CSR(企業の社会的責任)の観点から社会貢献活動に力を入れたい企業が協働することで、より大きな力を生み出すことができるからだ。しかし、企業の立場からすれば、NPOがどんなに社会的に求められる活動を展開しているからといって、無制限に資金提供などの支援をすることは現実的に不可能と言える。企業はどのような視点で、どのような基準を持ってNPO活動を支援しているのか―。NEC(東京本社)CSR推進本部・社会貢献室のフィランソロピーエキスパート(社会貢献活動の専門)である東富彦氏に聞いた。

「今年のロボット」2006大賞 経済産業省
大賞は富士重工、住商の清掃ロボット

 経済産業省は、今年新たに創設した「今年のロボット」2006大賞に、富士重工、住友商事の「ロボットによるビルの清掃システム」を選んだ。
中小企業特別賞は、近藤科学の「二足歩行ロボット KHR│2HV」、審査委員特別賞はセコムの食事支援ロボット「マイスプーン」がそれぞれ受賞した。
同省では、ロボット産業は世界をリードする新産業として、実用化に向けた技術開発や安全性確保を推進している。今回152件の応募の中から、市場創出への貢献度、期待度が高いロボット10件が選出された。受賞したロボットの内容は次の通り。なお問い合わせは同省製造産業局産業機械課(TEL03-3501-1691)まで。

古川佐賀県知事にインタビュー

古川知事体制になり県民協働課を設けた?

 16年4月、機構改革を行い、県民協働課と情報業務改革課を設けた。2課の思いが一致し今年から作業に入った。
最初私のところへは「業務内容の見直しをしよう」といったイメージできた。一旦、担当課に返して戻ってきたときに「協働化テスト」となっていた。ネーミングの勝利だと思っている。

目的は県民満足度の向上だと聞く。産業・雇用対策の趣旨はないのか?
 
県庁でも市役所でもない、新しい公共の担い手をつくることは地域産業の創出につながる。(新しい担い手は)NPO法人が代表的だが、佐賀県には、法人格も持っていない地縁的関係により公共を担っている自治会、婦人会、老人会といった組織が多く、こうしたところにも力を発揮してもらいたい。

県職員の意識改革の意味もある?
 
意識・行動の見直しにつながることも期待している。提案を受けた事業は、必要なものは人件費を含めたコスト計算をする。そこで職員は自分達より安く良いサービスが提供できることを知る。誤解しないでもらいたいが、コストを下げるためにやっているわけではない。結果的に下がるかもしれないが目的ではない。
なぜか?新しい公共の担い手づくりのポイントは、働いて食える環境にすることだからだ。
指定管理者制度で請け負った組織は、例えば団塊世代リタイア組、主婦層も存在するが、とても結婚して子供を育てられる収入は得ていない。新しい市民層をつくるには、一定の収入がなければならない。

ビジネスにしなければだめだと?
 
そう思う。安ければ良いという思想ではない。

「協働化テスト」の特長を整理すると?
 
これまで自分達で囲っていた事業の門を開けた。国の市場化テストは法律に書いてある業務しか対象にならない。佐賀では逆で、除外業務(警察・教育現場)以外は、すべて対象にし、提案を受けることにした。ここがまったく違う。361件の提案の中には、例えば通信事業者が地域公共ネットワークの維持管理を任せてほしいと言ってきた。通信基盤を、これしか使っていないのはもったいない、他に多くの使い道があると。こうした提案が多く出てくると、地域の姿が変わっていく可能性がある。

「協働化テスト」以外で、地域の産業・雇用創出につながる佐賀モデルがあるか?
 
トライアル発注がある(佐賀県が15年7月から実施)。県内企業が開発した製品を県が試験的に使用する。県321世紀の地方モデルをつくる!
新しい公共の担い手づくりは地域産業創出に分権推進委員長には東京以外の人を審査機関にかけチェックをした結果、使えると判断したものを採用する。県の現場で半年から1年使用後、結果をフィードバック、良かったら県評価を「お墨付き」として営業に活用していい。佐賀から始まった同制度は、35都道府県へ広がった。導入したり、導入を検討している行政へ、トライアル発注全国ネットワーク(仮称)発足を呼び掛けた(19年2月の設立総会開催予定)。まずは行政組織を構築し、そののち選定された元気な企業の全国組織をつくりたい。元気な企業が集まればシナジー効果が起きる。新たなベンチャー企業発祥の地になればと考えている。

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2007年01月05日

第127号

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TOPICS 本紙調べ 地域再生アンケート
不足している資源は「人材」

 「地域再生」を進める上で、地方自治体は、どのような課題に直面し、どのような施策を講じているのか―。本紙では、全国の自治体を対象にアンケート調査を実施した。その結果、多くの自治体が地域リーダーなどの「人材」を必要としているにもかかわらず、人材育成に関する施策がほとんど行えていない現状が明らかになった。また、「地域に活気がある」と回答した多くが「観光の活性化」を理由にあげているのに対し、「地域に活気がない」とする自治体の多くは、中心市街地や商店街の衰退を理由に挙げた。アンケートの結果から見えてきた地域再生のポイントは、まちづくりの「担い手」活用と、中心市街地+観光活性化の方程式だ。

中心市街地+観光の方程式

 地域再生アンケートでは、地域の現状を象徴的に表す質問として「活気があるかどうか」について聞いたところ「活気がある」「少し活気がある」が238件(30.8%)、「あまり活気がない」「まったく活気がない」が256件(33.1%)、「平均的」との回答は265件(34.2%)と、それぞれが約3分の1ずつを占める結果となった。「地域が活気ある」とした回答のうち最も多かったのが「観光の活性化」に関する意見、これに対し「地域に活気がない」とした回答のうち最も多かったのが「中心市街地・商店街の衰退」だった。観光の活性化と中心市街地の活性化をいかに結びつけるか―。アンケートの結果を分析した。

SPOT これが中心市街地+観光活性化のモデル
町家整備と再開発を同時進行

matiya.jpg 再開発と歴史的な風情ある景観の保全ー。一見、相反するプロジェクトを同時に実現させ中心市街地の活性化を図ろうとする試みが三重県伊賀市(平成16年11月に上野市、伊賀町、島ケ原村、阿山町、大山田村、青山町の6市町村が合併)で始まっている。老朽化が進む駅前一帯を再開発で整備する一方で、城下町に残る空き町家をレストランや工芸品店、住宅などに改修する。さらに、テナントミックスと呼ばれる、店舗を計画的に配置する手法を導入することで再開発ビルから街中へと、人を回遊させる。中心市街地と観光活性化を結びつける新たなモデルとも言える伊賀市の取り組みを取材した。

INTERVIEW 立命館大学 高田昇教授に聞く
旧法の失敗と今後のコンパクトシティーの必要性

 旧法における中心市街地活性化では、全国に600〜700もの基本計画が策定されたが、結果として、機能しているものはわずか。仮に1計画に1000万円がかかっていたとしても、60億円以上もの無駄遣いが生じていたことを、国も市町村も改めて反省しなくてはいけない。旧法における反省点は何か、今後の中心市街地活性化のポイントは―。三重県伊賀市で新たな中心市街地活性化基本計画の策定に取り組んでいる立命館大学の高田昇氏に、まちづくりの現場に携わる立場から意見を聞いた。

団塊世代を担い手に

 地域を再生する上で、不足している資源は何か――。この質問(自由記入)でダントツに多かったのが人的資源だ。活性化の担い手(140件)、マーケッティング力を持った人(137件)。
 たしかに、地域活性化の先進的な事例には、必ずといっていいほどカリスマ的な人材がいる。かつて、住民参加型まちづくりで注目を集めた北海道ニセコ町は、現衆議院議員の逢坂誠二前町長がそれだった。同じ北海道では帯広市のさびれた駐車場を年商7億円の屋台村に変えた中心人物、坂本和明氏。いまもマスコミ各社で取り上げられる旭山動物園の小菅正夫氏や坂東元氏。風力発電の建設で市民からわずか2カ月で4億円もの出資を集めた鈴木亨氏。高齢化が著しい徳島県上勝町でおばあちゃんの葉っぱ採取をビジネスにした横石知二氏。年商30億円の柚子産業を生み出した高知県馬路村の東谷望史氏。滋賀県長浜市をガラスの街に蘇らせた笹原司朗氏…。
 しかし、国や地方の財政が悪化し、財政破綻するような自治体まで出始めている状況で、こうした情熱的、天才的なまちづくりリーダーの誕生を待つ余裕はない。
 そもそも彼ら自身、決して自然発生したわけではない。1つ1つの身近な課題に取り組んだ結果、有名になりえた人物だ。

人材育成はわずか11件
 
 一方、アンケートで、「地域活性化で特に力をいれている計画」の設問に対し『人材育成』との回答はわずか11件にとどまる。事業として人材育成を行うことの難しさを裏付けている。
 もっとも多かった回答が『産業振興』(283件)で、その中身は、観光や基幹産業の活性化である。しかし、これらは、従来型の単なる自然観察スポットや、一時的なイベント、あるいは単に美味しい農産物だけでは活性化し得ない。やはり、知恵を持った人材=担い手の創意工夫による、地域資源を有機的に結びつけるような戦略が求められる。
 問題は、どうやって「担い手」を育てていけばいいのかだ。
 例えば群馬県太田市は「市税の1%相当を財源に地域が考え行動し汗を流す行政と住民のマッチング事業を行っている」。長野県栄村では「農業改善組合、山菜生産組合、そば生産組合の設立や山菜の温室栽培、農産物直売所の開設などに女性も実行部隊として参加している」。広島県安芸高田市「市内を32のブロックに分け、それぞれの地域振興自治組織と住民、行政との協働によるまちづくりを推進している」――など、ヒントになる回答があった。
 地域活性化に関する自由意見では、住民の意識改革・主体性、地域への愛着心を期待する声が最も大きかった。産官学民の連携を求める意見も多い。
 国主導で、しかも行政に任せれば生活できたような時代は終わった。回答者の多くが、地域住民が自ら立ち上がり、地方主導の気運を住民にも植え付けていくしかないことを、認識しているのではなかろうか。
 今年は団塊の世代の大量退職が始まる年だ。彼らがまちづくりの担い手になることも期待される。国は、こうした「担い手」活用に向け、支援策を拡充する方針を打ち出している。積極的に住民をまちづくりに参加させる仕組み、大学や企業、NPOとパートナーシップを結ぶ方策を早急に考える必要がある。

中心市街地+観光の方程式

 地域の活力について、「活気がある」とした回答では、観光や農業など「産業の活性化」を挙げる意見が210件でもっとも多く、人口増加が61件と続く。
 中には、「団塊の世代をターゲットにした体験ツアーを実施したところ12名の参加者中5名が定住する事となった」(石川県)、「都市農村交流施設、イベントなどにより観光交流人口が増加している。郷土料理をスローフードとして位置づけた町営レストランや地域主体の運営による、アイスクリーム工房、とうふ亭など、ふるさとの食と自然を体験できる施設をグリーンツーリズムの中核に位置づけている」(兵庫県多可町)、「市街地再開発事業(ミュージックタウン整備事業)が着工し、周辺地域も音楽によるまちづくりに対する期待感が溢れ、少しずつ賑わいがでている」(沖縄市)との具体的な成果を挙げてくれた自治体もあった。いずれも、1カ所の観光スポットだけを売りにする従来的な発想とは違い、周辺資源をより多くリンクさせている。
 対照的な意見として「桜まつりは、全国的に有名になり期間中は多くの観光客でにぎわい、町内が活気づくが、その他の季節では観光客も減少傾向にあり、活気があるとは言えない」(静岡県A町)というものもあった。
 一方、「活気がない」理由を見ると、「中心市街地の衰退」が162件と最も多く、次いで「産業の衰退」が139件と続く。
 中心市街地の課題は「購買力の低下」で共通している。理由としては、郊外への大型店進出を挙げる自治体が多いが、他方で「県が全国にさきがけて制定した条例により、農村部地域に大型スーパーが進出できなくなり、計画されていた大規模商業施設の誘導が困難な状況」(福島県B村)などの意見もあり、中心市街地問題の難しさを裏付けた。
 産業の衰退では、観光業の衰退、基幹産業の衰退を懸念する声が多かった。このほか、「人口減少」の回答も75件と高く、産業の衰退から、雇用環境が低迷して若者が流出する地方の厳しい現状が浮き彫りとなった。
 自由意見の中では、「かつての大規模イベントによる交流人口の増から、現在は主に村内の自然景観を生かしたイベントや、ホテルや博物館、産直センターなどの施設を活用した地域活性化を進めている」(秋田県大潟村)や「醤油工場と進水式を組み合わせたツアーやJRとふぐ料理店がタイアップしての『ふぐ列車』など、地場産業を利用した新しい観光に取り組み、結果として観光客が増加している」(大分県臼杵市)などのポジティブ意見があったほか、「高齢化率100%の地区もある」(京都府B市)など少子高齢化の影響を挙げる自治体が多かった。
 地域を活性化させるために力を入れている計画は何か―。トップは産業振興で283件、2位は協働・市民参加などまちづくり(220件)、3位が中心市街地の活性化(118件)と続く。
 ただ、まちづくり3法の改正で、今後、中心市街地活性化法にもとづき、全国各地で地域協議会が立ち上がってくることなどを考えると、今年の大きな動きは、中心市街地になる可能性もある。その際、これまで別々に進めてきた産業の活性化や、観光振興をいかにリンクさせていくかが政策上、求められそうだ。

投稿者 machizukuri : 更新日2007年01月05日