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2007年02月15日 第131号

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夕張市に紹介したい「村」
再建の厳しさなんて笑い飛ばせ

「おいしいメロン」のイメージから、一夜にして「悲惨な自治体」のイメージへと転落した北海道夕張市。その要因は、かつての主要産業だった炭鉱の閉鎖、その後の、採算が合わない観光施設整備への過剰な投資など、さまざま挙げられる。法の下で財政を立て直すとはいえ、住民への負担を重くすることは、地域の活力そのものを失わせる。地域から出て行く人がいても、そこへ移り住もうとする人は少ない。しかし、全国には財政破綻しても、「人の誘致」「企業の誘致」に成功している自治体もある。福島県泉崎村がそれだ。首長、行政マン自らが知恵をしぼり、汗をかいて、住民が住みやすい地域にするため、立て直しを進めている。

P F I 事業、年々増加
大使館や空港、刑務所まで 内閣府が初の年次報告書

 内閣府はこのほど、PFI事業※の実施状況や課題について初めてまとめた年次報告書「PFIアニュアルレポート」を公表した。それによると、国内におけるPFI事業の実施状況は、平成11年のPFI法の成立・施行以降、年々増加し、平成17年度末までに、実施方針を公表済みのものだけでも228件、事業費も約1・8兆円になっていることがわかった。近年は40〜50件の事業数の増加が見られ、運営段階に至っている事業も93件に達している。事業実施主体の内訳は、国などが57件、地方公共団体が173件。

『東京駅周辺防災隣組』らが主催
おいしい防災訓練

阪神淡路大震災から12年目となる1月17日、東京都千代田区では、区と地元企業らで組織する「東京駅周辺防災隣組」が合同で、帰宅困難者避難訓練を実施。外国人を含む延べ2000人が参加し、歩いて帰宅するための訓練や、救出訓練、仮設トイレの組み立て、非常食の試食会などを体験した。

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知恵とインターネット活用で

100人超の移住者

 平成12年に夕張市と同様に、財政破綻した福島県泉崎村。同村では、職員、有志らが知恵を絞り、さらにインターネットを活用することで、ほとんど予算をかけずに村をPRし、自力での財政再建を進めている。財政破綻後、ここに移り住んだ人は100人を超える。村のホームページから伝わってくるのは、厳しい財政状況ではなく、明るく希望に溢れる村のイメージだ。
泉崎村の人口は夕張市(1万4700人)の半分以下の6800人。日本経済がバブルの波に洗われ始めた1980年代前半に「日本一の村づくり」を提唱し、工業団地と住宅団地の造成・販売を進めてきた。が、バブル崩壊後は低迷。土地の売れ残りに加え、約20億円にのぼる未払い工事代金によって約68億2600万円もの赤字を背負いこむことになってしまった。一般会計規模は当時、約39億円。その2倍近くの負債を抱えたことになる。
こうした中、平成12年に新たに村長に就任した小林日出夫氏はじめ、職員、村民、有志らが立ち上がった。村は、国の管理下で財政を立て直すのではなく、自力での再建を決意したのだ。財政再建には、国の管理下に入る方法と、自力で立ち直る方法の2つがある。国の管理下ならば、国からの利子補給など優遇措置もあり、確実に再建の目的を達成しうるメリットがあるが、独自の事業は規制される。自主再建の場合は、地方債の発行が認められなくなるほか、国の財政措置も全く受けられなくなる。それでも同村では「財政再建となれば、イメージが悪くなり、土地が売れなくなる。土地を売らなければ、村の赤字は解消できない」(小林日出夫村長)との理由で、自力での再生に挑んだ。
再生への突破口の1つとして目をつけたのは、インターネットの活用だった。ネットで村のファンをつくり、村が造成した住宅団地「天王台ニュータウン」の区画を購入してもらおうという戦略だ。
仕掛け人の1人、有限会社販売企画研究所(郡山市)の東山雅広代表取締役は「限られた予算の中で泉崎村のファンをつくるにはホームページが最適な手段だと思った」と振り返る。当時はまだ「地域ポータルサイト」という言葉すら浸透していない時期である。
ホームページのタイトルは『わっはっは!泉崎村』。東山氏は「しょげた顔をしていたら、誰も手を貸してくれないんですよ。厳しい状況を笑い飛ばし、明るく前向きなまちづくりに取り組んでいる姿勢をPRしたかったのです」と話す。タイトルの文字は、泉崎に数年前に移住してきた書道の先生に依頼して書いてもらった。「ヨソ者でありながら、村の温かさを知る、そんな雰囲気を伝えてほしかった」(同)からだ。

ネットから現場へ、リピーターから居住者へ

泉崎村の土地販売戦略

泉崎村のネット戦略は、まずホームページ上で村の魅力をPRし、関心を持った人に「e村民」になってもらうことから始まる。e村民とは、税金など費用負担が一切ない、ネット上における村民のこと。登録すれば、村内の公共施設やレジャー施設を、村民より安い「e村民会員割引」で利用できるメリットがある。

さらに、e村民の交流会を年に数回、仕掛けることで、実際に村を訪れる機会を繰り返し提供している。一度でも来てもらえば、次は、リピーターになってもらうよう仕掛け、最終的には土地を購入してもらうという流れだ。

「e村民」制度を企画した(有)販売企画研究所の東山雅広代表取締役によると、現在、e村民の登録者は、2247人。交流会はすでに30回程度、開いており、毎回40〜50人が参加している。初めて泉崎村を訪れた人の多くが、第一声に「東京からこんなに近いんだ」と口にするという。新幹線の新白河駅から泉崎駅までは、わずか10分。その近さを、実際に足を運んでもらうことで、初めて認識してもらえるのだ。

村を訪れてもらった人には、地域資源である温泉を楽しんでもらうとともに、交流会で、村民の温かいもてなしを受けてもらう。まさに、行政、住民が一丸となった取り組みである。もう1つ、交流会の開催には、仕掛けが隠されている。東山氏は、イベントのたびに、地元メディアなどにニュースリリースとして情報発信をしている。お金をかけずに、少しでも人を集めるための工夫だ。

県の補助金も活用
 
交流会の主催者は、東山氏でもなければ、行政でもない。複数の地元団体が「e村民交流会実行委員会」を組織している。その理由は、より多くの住民に参加してもらうためだが、もう1つ、県の支援策を活用する手段としての目的ある。福島県では「地域づくりサポート事業」といって、地域間交流や地域PRなどに助成する支援事業がある。こうした県の事業を活用することで、財政的な負担を抑えているのだ。

「e村民」のうち何人が、土地を購入したかというデータは、残念ながらない。少なくても東山氏が把握するだけで数組はいる。区画全体では、これまで販売できた約110区画のうち、村民が購入したのは8区画にとどまり、残りは、すべて村外からの移住者。こうした状況を考えれば「インターネットの効果があることは間違いない」だろう。もちろん、インターネットで流す「情報」そのものに工夫があることが前提だ。

最大のヒットは、行政職員が考えた通勤奨励金制度。村の分譲地300u以上を購入し、そこから鉄道で通勤する人に3年間で最大300万円を助成するというもの。この大胆なIターン支援策は、ネットだけにとどまらず、マスコミ各社に大きく取り上げられ区画販売数を一気に押し上げた。実のところ、300万円を助成したのは今のところ、たった1人。村にしてみれば、この300万円で、数億円もの売り上げを稼ぎ出したとも言える。

住民を守る決意があった
 
財政再建に向けた取り組み当初から、村と関わっている東山氏は、「最初からリーダー(首長)と職員に、絶対にやれるという決意があった」と振り返る。村は、土地販売に加え、徹底した経費削減で、住民負担を一切上げることなく、行政サービスの低下も回避しながら再建を進めている。行政職員が、自らシャベルをもって、道の修繕を行うことも珍しくないという。

今の夕張市が非常に厳しい状況であることは誰もがわかる。が、テレビ画面を通じて伝わってくる市長および、行政マンの表情からは「必ず立て直してみせる」という気迫は伝わってこない。悲惨さをPRしても人は集まらない。今一度、地域の魅力を行政が率先してPRすべきではないか。

全国から寄付を集める方法
 

夕張市に紹介したい2つ目の事例が寄付集めだ。実は、市民から寄付を集めている自治体はめずらしくない。長野県泰阜村、同王滝村、北海道ニセコ町、同松前町、同沼田町、同羅臼町、岩手県葛巻町、秋田県小坂町、岡山県新庄村など16自治体が「寄付による投票条例」を制定している。このうち、長野県泰阜村は、条例制定から、わずか2年半余で1500万円もの寄付金が全国から集まった。「投票」とあるのは、寄付金の使い道を1つの事業に決め付けるのではなく、寄付者が自分の出したお金について、何のために使ってほしいか複数の事業の中から選べるようにしてあるため。提唱者は、寄付市場協会の渡辺清会長。

同氏は「寄付による投票条例は、本来的には寄付者が複数のメニューの中から希望する政策メニューを選択して、その政策に社会投資することでまちづくりを推進するもので、財政破綻を救うものではない。しかし、夕張市の基本的な社会サービスが著しく低下するものとなれば、震災被害の時のように『困った時には助け合う』という民意が働いて、全国から寄付が集まる可能性が高いだろう。ただ、長続きさせるためには、寄付を具体的に何に使って、どんな効果を上げたのか、説明責任を果たす必要がある」と語る。渡辺氏はまた、マスコミ各社の注目が夕張市に集まる中、間接的ではあるが条例制定のPR効果は高いと推測する。

正当性と持続力

欧米の寄付集め(ファンドレイジング)に詳しいNPO法人シーズ・市民活動を守る会の松原明事務局長は「寄付金の使い方の正当性と持続力がポイントになる」とする。「行政のために使うのでは誰も納得しない。自分のお金が市民のために使われ、それにより市民の皆が頑張っている再建のドラマを見えるようにする仕組みが大切」(同)。

福島県泉崎村とも共通することだが、暗くふさぎこんでいたら誰も手を貸してくれない。行政は頑張る市民の声を全国へ発信し、その住民のためにどんな覚悟もある姿勢を示すことが求められているのではないか。

投稿者 machizukuri : 更新日2007年02月15日

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