紙面紹介

« 第132号 | メイン | 第134号 »

2007年03月05日 第133号

2007-3-2-133.jpg

田中康夫・前長野県知事「敗北」の理由
改革派知事を見切った県民の声

 田中康夫の次はそのまんま東。タレント出身の改革派知事がまたしても誕生し、マスコミを賑わしている。一方、官僚出身で改革派として君臨してきた知事たちは、と言えば、浅野史郎・前宮城県知事に続き、今度は、岩手県の増田寛也知事、鳥取県の片山善博知事までもが勇退を表明。ポスト55年体制の象徴とも言える、改革派知事の活躍による自治体運営は、大きな岐路に立たされている。統一地方選も間近、民意はどう動くのか―。今号では、改革派首長の今後を占う上で参考になるアンケート結果を紹介する。

本紙提案 「公共事業への市民出資」
談合排除、地域活性化に期待

 公共工事をめぐる談合や汚職事件が後を絶たない。こうした問題の原因は、単に入札のシステムにあるわけではない。市民に対する事業説明の不十分さ、あるいは市民の公共事業に対する無関心さが、犯罪を野放しにしてきたとも考えられる。本紙では、一般市民が公共事業に対し関心を高め、より身近な事業として受け止めてもらえるものにするために、誰もが地域の公共事業に対して「投資」できる制度として「市民出資によるPFI事業」を提案。実現へ向けた取り組みの一環として、一般市民に対する公共事業への出資意欲を調査した。それによると、インターネットによるアンケートに、回答してくれた472人のうち、公共事業へは出資したくないと答えた人は30%(143人)で、残る70%(329人)が、条件次第で公共事業へ出資すると回答した。本調査は、内閣府都市再生本部の18年度都市再生モデル調査事業に選定され、長野県環境保全協会と本紙の連携で進めている。

三浦市のバイオマス施設業者決定
水産加工残さなどで発電

 神奈川県三浦市の三浦地域資源ユーズ鰍ヘ、バイオマス資源の有効活用で地域活性化を図るため、「バイオマスセンター(仮称)」の事業者を選定していたが、このほど三造環境エンジニアリング梶i東京都江戸川区)を優先交渉権者にしたと発表した。
 4月下旬までに事業契約を締結。19年度は環境アセスメント、設計を行い、20年度着工、22年度の稼働を目指す。

好評シリーズ 議員が提案する政策条例の動向
首長と議員条例の意外な関係 (牧瀬 稔)

 議員提案政策条例について言及する前に、条例について簡単に触れておきたい。教科書的な言い方になるが、条例とは地方自治体が自治権に基づいて主体的に制定する法形式のことである。条例は議会の議決によって、団体の事務に関して制定する自主法の形式をとる。一方、地方自治体が定める自主法は規則もある。規則は地方自治体の長(知事・市町村長)が、その権限に属する事務に関して制定する法形式である。

↓続きはここから
タレント知事の今後を占う

「素人だが市民の代表」VS「市民の代表ではないが行政のプロ」

 滋賀県の嘉田由紀子知事や、長野県の田中康夫前知事、東京都の石原慎太郎知事、高知県の橋本大二郎知事、徳島県の大田正前知事など、脱政党化した改革派知事の研究をしている知事研究会(研究代表:久保田滋大妻女子大学人間関係学部助教授)はこのほど、田中康夫・前長野県知事が2006年の知事選で村井仁現知事に敗北した要因をアンケート調査から分析し、結果を報告書にまとめた。それによると、知事を選ぶ際の資質について@「素人だが市民の代表」A「市民の代表ではないが行政のプロ」のどちらの意見に近いかという2つの選択肢を提示したところ、「市民の代表ではないが行政のプロ」を選んだ6割近くが元官僚で前代議士(衆議)の村井氏に投票していたことが明らかになった。なぜ「素人だが市民の代表」を求める声は敗北したのか。報告書では「県民が、政治や行政の安定的な運営を求めた結果ではないか」と、まとめている。

2006年長野県知事選を徹底分析

若者や無党派層が離れた!

 アンケートは長野県内の有権者3400人に対し実施、1426人から回答を得た(回収率41・9%)。まず、2006年知事選の投票行動について分析したところ、年代別には年齢が上がるにつれて、村井氏に投票する割合が大きく、若い人ほど棄権した割合が増える傾向にあった。

 職業別では、管理職や事務・販売職で村井氏への投票が多かったのに対して、自営・自由業や工場の生産現場などに勤務するマニュアル職、主婦・パート・学生を含む無職層では、田中氏へ投票した割合が多かった。

 県議会からの不信任を圧勝ではねのけた2002年の出直し選挙と比べると、「出直し選では田中氏に投票した」とする若年層や、田中氏の政治手法に共感を持っていた層が、今回の選挙では棄権していた構図が改めて浮き彫りになった。

 政党別では、自民党支持者の6割弱、公明党支持者の約5割が村井氏へ投票。一方、民主党支持者の5割強、共産党支持者の8割、社民党支持者の6割は田中氏へ。無党派層では、3割強が村井氏だったのに対し、4割強が田中氏、残る2割強が棄権している。報告書では「自民や公明での支持者が、政党の推薦する村井氏に投票していたことから、村井氏の組織選挙が有効に機能したのではないか」と分析している。

 政治的なイデオロギーと投票行動に関する項目では、自らが「保守」であると回答した人(どちらかといえばも含む)のうち半数強が村井氏に投票。一方「革新」であると回答した人(同前)の6割近くが田中氏に投票しており、今回の知事選が「保守」対「革新」の構図になっていたことも裏付けた

 また「環境保護」と「経済成長」という対立軸から見た投票行動では、@「経済成長率が低下しても環境保護が優先されるべきだ」A「環境がある程度悪化しても、経済成長と雇用対策が優先されるべきだ」という2つの意見の、どちらに近いかについて回答してもらったところ、@「環境保護を優先する」とした人では田中氏に投票した割合が高いのに対し、A「経済成長を優先する」と答えた人は村井氏に投票した割合が目立って高かった。

 リーダーの資質については、@「素人だが市民の代表」A「市民の代表ではないが行政のプロ」のどちらを選ぶかを聞いたところ、@は58・1%、Aは41・9%と拮抗。@「素人だが市民の代表」と答えた人の6割近くが田中氏に投票していたのに対しA「市民の代表ではないが行政のプロ」と答えた6割近くは村井氏に投票している。報告書では「自分たちの代表だが政治や行政を安定的に運営できないリーダーよりも、たとえ市民の代表と言えなくとも、政治や行政に通暁していて、安定した県政運営ができるリーダーのほうがよさそうだという意識が村井氏を勝たせたと言える」とまとめている。

 田中県政への評価については、「前例にとらわれない発想」「県の対外アピール」「県民との対話・車座集会」など11の個別施策について、4段階で評価してもらった。県政全体では「大いに評価する」と答えた人こそ7・2%と少なかったが、「ある程度評価する」とした人までを合わせると、62・2%が肯定的に見ていることがわかった。一方、「あまり評価はしない」とした人は22・8%、「評価しない」は8%で合わせても3割強だった。

 個別施策では、高い評価を受けているのが「前例にとらわれない発想」や「県の対外的アピール」「県民との対話・車座集会」など。逆に評価が低かったのは「新党日本の党首への就任」や「県議会や市町村との関係」「産業の振興・雇用の拡大」など。


投稿者 machizukuri : 更新日2007年03月05日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL: