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2007年03月25日 第135号
分譲マンションが再生できる!
権利調整を得意とする専門家が力を発揮
日本に存在する分譲マンションは500万戸。迫り来る大地震に対し耐震化の必要なものは、このうち50万戸といわれる。耐震改修の事例は従来、ほとんどなかった。補強個所・工法、費用負担などにおける権利者間の合意形成が困難なためだ。ケガの巧妙というべきか、耐震強度偽装物件に対する支援措置の中で、力を発揮している組織のノウハウが生かせそうだ。再開発コーディネーター協会(※東京)。再開発事業の権利調整などを得意とする、この専門家集団は、偽装分譲マンションの建て替え・耐震改修に組織をあげて尽力している。国は、この手法を参考に耐震改修マニュアルを作成、19年度以降、全国への普及を図ろうとしている。この動きにスポットをあてる。
生協連が震災シミュレーションを体験
首都直下地震に対応し広域演習
東京湾北部を震源とするM(マグニチュード)7・3クラスの地震が、200×年2月14日(水)13時発生。こんな想定で、首都直下地震で激甚な被害に見舞われた「広域連携支援図上演習」が、※日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区渋谷3│29│8、以下日本生協連)で行われた。2001年に図上演習を始め、今年で6回目。今回は、生協の事業継続計画や被災者への支援、行政との協定にもとづく応急生活物資の調達などマニュアルや広域連携プログラムが問題なく機能するかを検証した。
綜合警備保障の警備システム
常駐警備員と新型ロボットを融合させた!
大手警備会社の綜合警備保障梶i通称 ALSOK 東京都港区元赤坂1│6│1)は、常駐警備員と新型ロボットを融合させた新しい警備システム「Reborg│Q」(以下、リボーグQ)を開発、昨年11月に発表し顧客を中心に営業を開始している。同社の19年度販売目標は、10システム(カ所)。3000隊ある常駐警備隊の中から、100〜200の警備隊が常駐警備を請け負う顧客をターゲットに新システムを販売したい方針だ。
国の地域再生総合プログラム
新たに29施策を追加
国の地域再生総合プログラム新たに29施策を追加国は地域再生総合プログラムをまとめた。「地域再生計画」と連動する新規29施策を含めた53施策と、(連動しない)その他227施策で構成する。新規施策では、再チャレンジ支援寄附金税制(内閣府)、地域雇用創造推進事業(仮称・厚生労働省)、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(農林水産省)、企業立地促進などを通じた地域産業活性化(経済産業省)、中小企業地域資源活用プログラム(同)、地域公共交通活性化・再生事業(国土交通省)、地域自立・活性化総合支援制度など(同)―を目玉として挙げている。5月以降、認定を受けた「地域再生計画」に基づき支援を実施していく。
「プログラム」は国各省庁の地域活性化策を地域が利用しやすいように体系化した。新規施策関連法案の成立を図りながら、5月以降、認定された「計画」の中で支援を進める。
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再開発コーディネーター協会(東京)が支援19年度、耐震改修マニュアル作成
姉歯元建築士による構造計算書偽装分譲マンションのうち、耐震強度(※)を満たしていない物件は28棟。建築主が破産してしまった潟qュ―ザー(東京)のものは21棟ある。このうちの1つグランドステージ千歳烏山(東京都世田谷区)は住民が18年12月、建て替え決議を行った。19年5月には建て替え組合を設立予定で、同組合から既存建物の除去・建築工事が発注される。「千歳烏山」は建築基準法上は1棟だが、見た目は、A棟5階建て22戸と、B棟3階建て9戸に分かれている。問題はA棟のみ耐震強度がクリアされていないこと。両棟ともに使用禁止命令が出され、当初B棟の居住者に不満が起こり調整がつかなかった。このため居住者が再開発コーディネーター協会に相談に訪れた。対応のため選ばれたのがNPO法人・都市住宅とまちづくり研究会(※東京)理事長の杉山昇氏(?すばる建設企画社長)だった。
ケガの巧妙か、コミュニティーが深まる
千歳烏山」はA棟に玄関・エレベーターがあり、渡り廊下で結ばれたB棟の各戸へは、A棟を通らなければならないアプローチになっていた(図)。当初、耐震強度を満たしているB棟の居住者は、A棟だけ直せばいい、と考えた。ところがA棟だけ直すにしても、B棟にエレベーター・階段をつけなければならない。両棟の間は狭く、工事が困難であると判断された。仮に改修工事を導入すれば、両棟各戸に対し1000万円もの負担が発生してしまうというひとつの試算も出た。建て替えを改修に変更すれば、行政による仮住居の家賃軽減費用措置も打ち切られる。
杉山氏は「説明を重ねていく中でB棟の居住者にも理解をしてもらい、ともに建て替える方向に傾いてきた。そこで既存の部屋を9・6%ずつ減らせば、従来と同じ形で建て替えることができると提案。みんなで同じ痛み分けをする。そこから保留床を生み出して売却すれば負担額を軽減できる。ところが理解を得られなかった。減らしたくないという住人の声が多かったのだ。結果的に7階建て1棟の形にすることで18年12月、建て替え決議ができた(※)」と振り返る。
平成15年に完成した「千歳烏山」の平均自己負担額は5000万円。108u(33坪)が部屋の平均面積。無論、居住者はローンを返済中だ。今回決議された7階建ての自己負担額は補助金などを導入した後、平均2000万円になる。居住者は結果的に7000万円の物件を購入したことと同じで、新たなローンが肩にのしかかる。偽装事件による金銭的な被害だ。
居住者で構成する耐震偽装対策委員会執行委員長の市来隆(いちき・たかし)さんは「発覚した17年11月から1年4カ月がたった。当初、B棟が耐震強度に問題なかったため調整に手間取った。半年かけて建て替えの方向となった。コーディネーターの力を得て、建て替えの方法や、新住居の調整もできた。時間はかかったが、やっと見えてきた、というのが実感だ。これから各世帯ごとに返済が問題になってくる」と感想を述べる。
最後に杉山氏は「居住者同士は以前、ほとんど付き合いがなかった。偽装発覚後、31戸は急速に結束する。今はA棟B棟の意識はほとんどない。きっかけは不幸な事件であったが、結果的につきあいが深まった(強いコミュニティーができている)」と指摘した。新たな「千歳烏山」は20年末の完成を目指している。
改修事例はほとんどない19年度、改修補助を拡充
偽装分譲マンション28棟のうち非ヒューザー物件は7棟。建築主の瑕疵担保責任(※)により建て替えや耐震改修が求められている。問題は、廃業してしまったヒューザー物件の21棟だ。支援が必要だと判断され、国は17年12月、18年5月に、それぞれ支援策(※)を打ち出した。
耐震強度を満たしていない21棟は、耐力度合により、大きく建て替え・耐震改修の2つに分けられた。
建て替え・耐震改修ともに居住者間の権利調整が求められる。再開発コーディネーター協会の支援が要請されることになった。
前述の杉山氏が動いた物件は建て替えだ。協会の佐藤専務理事は「コーディネーター協会には従来から相談室が置かれ、アドバイザー制度もあった。制度上の登録者も1000人を超えようとしている」と解説する。
建て替え対象の11棟のうち最も進捗しているグランドステージ溝の口(川崎市)は旧施設の除去が終わり新施設の建築工事着手にまで至っている。
一方の改修はこれまでほとんど実績・実例がなかった。杉山氏の実績を踏まえ、対象の10棟に対し協会からコーディネーターが派遣され、結果的に6件にかかわっている。
佐藤専務理事は改修について「例えば10階建てのマンションの下から3階までを改修・耐震補強することを考えれば、合意形成のいかに難しいかがわかる。耐震個所、工法の選択や、費用負担などの権利調整が求められる。ここで再開発事業で培われた専門家の能力が生かせる」と述べる。
国は、こうした協会の実践から生み出されたハウツーをマニュアルとして残そうと考えている。国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室の前田亮課長補佐は「分譲マンションの耐震改修事例がない。費用負担と合意形成がネックとなっていた。一方、国は耐震改修促進法を改正し住宅ストックの耐震性を10年後には9割にまでアップしようと進めている。そこでマニュアルを作成し19年度以降、改修を加速させようと考えている。補助対象を19年度で拡充することも計画している」と話す。
ケガの巧妙といっていいのか、偽装マンション支援の中から出てきた再開発事業の専門家集団による分譲マンション再生のアプローチ。ノウハウが、遅々として進まなかった分譲マンション耐震化を動かすか、今後の動向に注目していきたい
投稿者 machizukuri : 更新日2007年03月25日
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