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2007年04月05日 第136号
共働き時代の難題「病児保育」に挑む
補助金には頼らない
夫婦共働きが、いまや当然の社会。だが、その影で病気になった子供の保育が大きな問題となっている。病気になった子どもを抱えた親が安心して働ける社会環境が十分に整っていないからだ。「看病のたびに休暇を取れば会社を首になる」「休みがちのため正社員になることができない」など、企業や親の都合により、子どもたちは最も愛する人に甘えたい瞬間、自分の親から複雑な目線を向けられる。こうした課題を解決しようと、東京都のNPO法人が社会の仕組みを変えるべく挑戦を続けている。補助金はゼロ。取り組みに必要な2000万円超の事業費は自力で調達。地域の「ベテラン子育てママ」の力を結集することで、行政に頼らず病児保育の難題をクリアする方法を編み出した。そのノウハウは、大型マンションの建設にまで取り入れられることになった。NPOを率いるのは弱冠27歳の独身、駒崎弘樹氏。社会を変える若きエネルギーと、柔軟な発想に迫った。
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ITベンチャーからソーシャルベンチャーへ
27歳独身だから病児保育を解決できる
NPO法人フローレンスの代表理事である駒崎弘樹氏は、大学時代にITベンチャーを立ち上げたほどの人物だ。大学卒業後に、ベビーシッターをしていた母親から、子どもが熱を出し仕事を休んだことで解雇されたお客さんの話を聞き、病児保育問題を初めて知った。これがきっかけで、共同経営者に会社を譲り、社会的な問題を解決するソーシャルベンチャーの道へと人生の舵(かじ)を切った。
「正直な話、ITベンチャーをやっていて、かなりしんどかったんですね。六本木ヒルズに住みたいわけでもないし、外車に興味があるわけでもないし、モチベーションを持ち続けられなかった。それより、何か社会のためにできないか、社会の問題を解決する仕事に携わりたいという思いが強くなってきました」。
駒崎氏の頭の中にはアメリカで見たNPOの活躍があった。「NPOのホームページを開くと、信じられないくらいかっこがいいんですね。それだけ経営力があるのでしょう。NPOなのにCEO(最高経営責任者)があいさつするし、マーケッティング・ディレクターという役職もあるし、驚きの連続でした」(駒崎氏)。
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映画制作やミュージシャンの育成にも
市民ファンドで地域活性化
地域を活性化させるための資金調達の手法として、「市民ファンド」に注目が集まっている。地域の課題解決などのために、市民に投資をしてもらい、成果の一部を配当として出資者に還元するというもの。NPO法人北海道グリーンファンドが風車建設のための資金集めに、わずか2カ月で4億円もの資金を市民から調達するなど、ここ数年、活用事例が増えている。
東京財団は3月19日、「市民ファンド」をテーマにした勉強会を都内で開催した。地域を舞台にした映画制作に市民が投資した事例として、映画「波山」の制作委員会で現・茨城県教育庁生涯学習課主事の橘川栄作氏、また、音楽業界で市民ファンドを活用してミュージシャンを育てているミュージックセキュリティーズ株式会社の猪尾愛隆取締役がそれぞれ講演した。
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日立エンジニアリング・アンド・サービスの洪水シミュレータ
リアルタイムで3次元予測
地球温暖化に伴い、世界的な異常気象が原因でハリケーンや津波による大災害が相次いでいる。日本国内でも、ここ数年集中豪雨による被害が多く、水害の危険性が増している。そんな状況の中、鞄立製作所中央研究所は�日本気象協会と共同で、高度な洪水シミュレーション技術を開発した。その技術を応用した「リアルタイム洪水シミュレータ DioVISTA/Flood Simulator」(以下、ディオビスタ)が昨年11月、鞄立エンジニアリング・アンド・サービス(本社:茨城県日立市幸町3丁目2番2号 社長 矢内勝也)で商品化された。同製品と今後の展開を紹介する。
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NPO法人フローレンス(東京都)
東京都中央区の都営住宅団地の跡地に、子育て支援マンションが平成19年度から建設される。都の所有地を有効活用するため、民間の発想を使ってまちづくりを行おうというもので、この施設に、NPO法人フローレンス(駒崎弘樹代表理事)のノウハウを取り入れた企業グループの提案が採用されることになった。
建物は45階建てで、病児保育施設や小児科医院、幼稚園と保育園を一元化させた認定子ども園や、学童保育など子育て機能を充実させる。都が事業者を公募する際、条件として「子育て支援機能を取り入れる」ことを打ち出し、これを受け、東京建物鰍窿Cヌイ建物鰍轤ナつくる企業グループが、病児保育で高い実績を持つフローレンスに協力を呼びかけたのだ。
マンション全体のプロデュースはデベロッパーである東京建物、イヌイ建物らが行い、子育て支援に関してはフローレンスが企画・運営を行う、いわば「NPO・企業連合」である。
大手デベロッパーまでもが目をつけるフローレンスのハウツーとは何か――。その答えが、補助金を一切使わないで、病児保育を事業化している経営戦略に隠されている。
脱施設からの発想
施設は、600程度とされている。厚生労働省によれば、17年度の病児保育施設への交付件数は598件(乳幼児健康支援一時預かり事業)で年々、増加傾向にある。が、一般の保育施設や小児科では、原則として病気の子どもを預かってもらうことはできず、共働き世帯が増える中、病児保育のニーズは満たされていないのが現状だ。
その理由は、経営的な自立が困難なため。全国病児保育協議会(事務局:大阪市中野子ども病院内)が加盟施設を対象化に行った平成15年度のアンケート調査では、収支に関する質問で、はっきりと黒字と答えたのは1割にも満たなかった。逆に、はっきりと赤字と答えた施設は6割を超えた。
採算性の壁を越えるためにフローレンスが考え出したのが「脱施設」の事業展開。特定の施設を持たず、地域のベテラン子育てママの家で預かるシステムを構築することで固定費を大幅に削減。さらに、通常のベビーシッターのように従量制課金にするのではなく、月会費制とすることで経済的な価格でサービスを提供できるようにした。毎月の会費を積み立て、そこから必要な経費を賄う、いわば「共済型」の仕組みだ。
入会費は2万円。月会費は子どもの体質やサポート内容などによって異なるが5000 円から2万円で、3カ月に1回の見直しを行う。サポート内容には、月1回の病児保育の利用枠がついていて、2回目以降は1時間1000円〜が掛かる。これが病時保育の収入源。
一方、支出は、子どもを預かってくれる地域のベテラン子育てママ『こどもレスキュー隊』の研修費と謝礼、子どもを病院まで送り迎えするタクシー代など。特に、『こどもレスキュー隊』への謝礼金は、1時間900円〜1300円と決して安くはない。病児保育を行った時間によって金額は異なるが、1月あたり数千円の人もいれば最大10万円近く稼ぐ人もいる。
ちなみに初年度の事業費(平成17年4月〜18年3月)を見ると、病児保育にかかった経費(支出)は931万6711円。これに対し病児保育事業だけでの収入は504万1931円で、この収支だけでは大幅マイナス。しかし、これは初年度ということもあり利用者(登録者)数を意図的に38世帯に抑えたため。
駒崎氏は「子どもの命を預かる仕事なので、事業拡大を急いで質を落とすようなことはできません。信頼できるスタッフを育てられるまでは利用者を増やさない方針です」と慎重な姿勢を見せる。
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投稿者 machizukuri : 更新日2007年04月05日
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