2008年06月15日 第179号
簿価3.5億円が27億円で売れた
自治体が抱える不動産に証券化を導入
公的不動産(ストック)の戦略的な活用に注目が集まろうとしている。新潟県は都内に抱えていた職員住宅に不動産証券化事業を導入、売却益として簿価(※)の実に7倍以上の27億円を得た。職員宿舎は民間開発の一部を借り上げる形で確保する。財政健全化法や資産・債務改革など(※)地方公共団体を取り巻く環境は厳しさを増す一方だ。ストックを戦略的に見直すことが、解決策となり、同時に地域活性化にもつながる。新潟県の取り組みを見ながら、ストックの戦略的活用について考えてみたい。新潟県は平成18年4月、都内に所有していた古い職員住宅不動産を対象に、証券化を条件とした公募を行った。14の事業者から応募があり(全事業者が条件をクリア)、提案金額が1番大きかった(株)モリモト(東京)を選んだ。簿価3億5000万円の土地(職員住宅の評価額はゼロ)に対し、同社は27億円を提示した。条件だった開発後の職員宿舎確保金額2億円(20戸を10年間一括借り上げ)を相殺した25億円が19年3月に新潟県へ支払われた。※不動産証券化=所有権が流動化しにくいとされる不動産を株式などに小口化して投資家に販売、流動化を図る。不動産管理から生み出された収益は投資家に配当される。※簿価=適正な会計処理の結果として帳簿に記入されている数値※財政健全化法や資産・債務改革=平成19年6月公布の健全化法、平成18年8月総務事務次官通知の資産・債務改革などを受け、地方公共団体には新たな資産(ストック)管理方法が求められている。
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国土交通省のPRE研究会
証券化・PFIだめなら、まちづくりがある
国土交通省の公的不動産の合理的な所有・利用に関する研究会(座長=中川雅之・日大経済学部教授、以下PRE研究会)は5月28日、都内で20年度第1回目の会議を開き、年度内に地方公共団体向けのアンケートを実施し、それを踏まえてPRE(公的不動産)戦略のハウツーをまとめた手引書を作成することなどを確認した。PRE研究会は19年度に発足、20年度でも継続して検討を行う。年度内には、地方公共団体向けアンケートを実施、それを踏まえ、手引書を作成する。21年度以降、手引書などを活用したモデルに対する支援なども行う予定だ。
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日本総研の日吉ディレクターに聞く
PRE(公的不動産)は地域活性化につながる
国土交通省の公的不動産の合理的な所有・利用に関する研究会(以下PRE研)事務局を務める(株)日本総合研究所(東京)地域経営戦略グループディレクターの日吉淳氏にPRE戦略検討の目的や、その背景などを聞いた。―PRE研の目的って何?国土交通省は地方の「塩漬け」になっているような不動産を市場に排出することで不動産活性化を図ろうとしている。同省は18年度〜19年度で企業不動産の検討を行い、(結果を)ガイドライン・手引きにまとめた。19年度〜20年度で対象を公的不動産に定め検討を進めている。国の資産は方向を示している。地方自治体の資産が問題で、この有効活用を推進したい。
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飛騨高山ふるさと基金創設
寄附金を募集中
岐阜県高山市は、ふるさと納税制度(※)開始に伴い「飛騨高山ふるさと基金」を創設、寄附を募集している。「基金」は、歴史・文化の次世代への継承、ふるさとの原風景保全、飛騨高山ブランドの発信、まちづくりなどをテーマとした事業資金にあてる。基金原資として市はまず1億円を投入、さらに寄附金額と同額を基金へ積み立てていく。寄附金受け入れ先は「飛騨高山ふるさと基金」。詳細はwww.city.takaya.lg.jp/に。
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地方自治法上の制約などあり
新潟県は、東京都北区滝野川に所有していた職員宿舎不動産(築33年の宿舎2棟と2864uの土地)を対象に開発事業者を公募した。条件は、資産有効活用(所有権移転と不動産証券化)、老朽化した施設に代わる宿舎の確保、不動産売却益確保。手続きを経て14の事業者から応募があり、結果、提案金額が1番の会社が選定された。応募者が提案した内容は、多くがマンション(12事業者)で一部が高齢者介護施設(2事業者)だった。選定された事業者は潟c潟cg(東京都渋谷区※のこり13事業は非公開)。提案内容は分譲住宅1棟(地上5階、地下1階、69戸)と賃貸住宅1棟(地上7階、20戸)。証券化スキームは、同社が組成したSPV(特定目的事業体)が証券を発行することで資金を調達し、同金額で不動産対価を新潟県へ支払う。不動産は信託受益権(信託銀行に信託する)の形でSPVが購入する(1面図参照)。新たに開発される職員宿舎の賃料2億円と、SPVの不動産対価である27億円を相殺した25億円が、19年3月、モリモトから新潟県に支払われた。※(株)モリモト=資本金57億7176万円、売上高1176億円(連結、2008年3月末)。
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投稿者 machizukuri : 更新日2008年06月15日
