2008年06月

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2008年06月25日

第180号

まちづくり新聞180号.jpg

全国初行政財産を貸し付けた
借り受け料年額760万円!

 東京都は全国で初めて「行政財産」(※)の貸し付けで収益を得た。民間に委ね、3都税事務所駐車場をコインパーキング化、事業者から年間760万円の借り受け料を取得した。同事業を皮切りに都各局が抱える行政財産の有効活用を推進していく。民活を呼び込み、地域活性化につながる。全国自治体に対し、財政健全化法や資産・債務改革が迫られる中、財産(資産)利活用の先端的な動きを東京都に見たい。※「行政財産」=行政が抱える資産は、行政財産と普通財産に分かれる。地方自治法上で原則、行政財産の売却は許されていない。従来、同法238条4第7項で「使用許可」は認められてきた。公的施設にも置かれている自動販売機などの根拠だ。19年3月の法改正で規制緩和、「貸し付け」(借地借家法の適用を受けた私権の設定)までが許されるようになった(地方自治法238条4第2項)。

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シリーズ10 社会保障研究家が正す
福祉要員の確保策とは?

 「需要があるのにサービスを供給できない」福祉の現場で起きていることだという。介護保険や支援費制度の開始により、福祉サービスを受けることは『国民の権利であること』が認識された。これまで家庭内に閉じ込められていたサービス需要が掘り起こされている。需要が拡大しているわけで、市場の拡大という事業上の大チャンスであるはずだが、福祉事業者の顔色がさえない。「いくら求人をかけても、人が集まらないのです」とあきらめ顔だ。「景気がいいと、どうしてもほかの分野に行ってしまいます」目の前にお客さまがいるのに、事業の一部を閉鎖しなければならない状況なのだと言う。それで設備の一部を遊ばせることになれば、経営的にも好ましくないことになる。「職員の給与改定もままならず、いっそのこと廃業しようかとも思うのですよ」パチンコパーラーが廃業する分には、「どうぞご自由に」で済むが、福祉事業では「はい、そうですか」と言うわけにはいかないだろう。デイケアを楽しみにしているお年寄り、働いて収入を得る生きがいを経験している知的障害者…。そうした人たちにどう説明するのか。この問題の原因は簡単なことである。要するに、これら事業に従事する職員への「労働条件、処遇が際立ってよくない」のである。これを改善すれば、たちまち解決する。手取り収入が他産業より何割も低いのではどうにもならない。介護労働は人へのサービスである。それもさまざまなハンディをかかえた人のケアである。心配り、機転、体力…。求められる要素は大きく、多い。「頭数さえいれば、だれだっていいだろう」というものではない。求められる能力は、市役所の吏員や義務教育の先生並みであると判断したから、介護福祉士という国家資格まで用意されているのだろう。

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東洋大根本教授に聞く
「CRE」「PRE」が不動産市場を拡大する

 国土交通省の公的不動産の合理的な所有・利用に関する(PRE)研究会委員で東洋大学大学院経済学研究科教授の根本祐二氏に、CRE・PREの概念や、必要性などについてインタビューした。―CRE(企業不動産)、PRE(公的不動産)戦略の概念説明から?経済学でいう財を生産する人・モノ・金の3要素のうち流動性の高い金・人は、企業の資金部・財務部や人事部が有効活用を考え、企業価値の最大化を目指してきた。最も流動性の低い不動産は、建てた事業部が管理してきており、資産管理部といった専門部署は存在してこなかった。しかし不動産の流動性を高めることで企業価値を向上させることができる。財務部や人事部と同じように社長直結でマネジメントをする部署が必要。そこが戦略的に考えるテーマがCREだ。

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􀀀地域医療再生への提言
福岡県は大幅赤字削減に成功した

 広域関東圏産業活性化センター(東京)は、地域医療の今後の方向性に関する調査をまとめ公表した。地域医療再生に向けた提言では、公立病院の民営化と統廃合、電子カルテ化の推進と共有ネットワークの構築などを挙げた。民営化は、福岡県が県立5病院すべてを民営化し大幅な赤字削減に成功した事例などを紹介している。地域医療を取り巻く環境が厳しさを増している。公立病院が大幅な赤字経営に陥っている。平成17年度の全国982病院の医業収支は合計で3909億円の赤字、純損益も1476億円の赤字。財政健全化法施行(平成21年4月1日)を前に経営改善が喫緊の課題となっている。こうした状況に対し、公立病院の民営化と統廃合、電子カルテ化推進と共有ネットワーク構築(電子化)などを再生にむけた提言として挙げている。民営化では福岡県の事例を紹介。県立5病院すべてを民営化、大幅な赤字削減に成功している(先行3病院、表1)。5病院は朝倉・遠賀・大宰府病院(17年度に民営化)と柳川・嘉穂病院(19年度同)

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民活、地域活性化につながる

 地方自治法改正を受け、原則、禁じられていた「行政財産」の民間への貸し付けが認められるようになった。東京都は、無料開放していた都税事務所の駐車場を、その対象とした。新宿・中野・荒川にある3都税事務所だ。来所者以外の無断駐車を排除する目的などがあった。公募型企画提案方式により4社からの提案を受け付け、審査の結果、19年5月、パーク二四(株)(東京)を選出した(残り3社は非公開)。同社は3件合わせて年額760万円の借り受け料を都に支払った。

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投稿者 machizukuri : 更新日2008年06月25日 | コメント (0)

2008年06月15日

第179号

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簿価3.5億円が27億円で売れた
自治体が抱える不動産に証券化を導入

 公的不動産(ストック)の戦略的な活用に注目が集まろうとしている。新潟県は都内に抱えていた職員住宅に不動産証券化事業を導入、売却益として簿価(※)の実に7倍以上の27億円を得た。職員宿舎は民間開発の一部を借り上げる形で確保する。財政健全化法や資産・債務改革など(※)地方公共団体を取り巻く環境は厳しさを増す一方だ。ストックを戦略的に見直すことが、解決策となり、同時に地域活性化にもつながる。新潟県の取り組みを見ながら、ストックの戦略的活用について考えてみたい。新潟県は平成18年4月、都内に所有していた古い職員住宅不動産を対象に、証券化を条件とした公募を行った。14の事業者から応募があり(全事業者が条件をクリア)、提案金額が1番大きかった(株)モリモト(東京)を選んだ。簿価3億5000万円の土地(職員住宅の評価額はゼロ)に対し、同社は27億円を提示した。条件だった開発後の職員宿舎確保金額2億円(20戸を10年間一括借り上げ)を相殺した25億円が19年3月に新潟県へ支払われた。※不動産証券化=所有権が流動化しにくいとされる不動産を株式などに小口化して投資家に販売、流動化を図る。不動産管理から生み出された収益は投資家に配当される。※簿価=適正な会計処理の結果として帳簿に記入されている数値※財政健全化法や資産・債務改革=平成19年6月公布の健全化法、平成18年8月総務事務次官通知の資産・債務改革などを受け、地方公共団体には新たな資産(ストック)管理方法が求められている。

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国土交通省のPRE研究会
証券化・PFIだめなら、まちづくりがある

 国土交通省の公的不動産の合理的な所有・利用に関する研究会(座長=中川雅之・日大経済学部教授、以下PRE研究会)は5月28日、都内で20年度第1回目の会議を開き、年度内に地方公共団体向けのアンケートを実施し、それを踏まえてPRE(公的不動産)戦略のハウツーをまとめた手引書を作成することなどを確認した。PRE研究会は19年度に発足、20年度でも継続して検討を行う。年度内には、地方公共団体向けアンケートを実施、それを踏まえ、手引書を作成する。21年度以降、手引書などを活用したモデルに対する支援なども行う予定だ。

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日本総研の日吉ディレクターに聞く
PRE(公的不動産)は地域活性化につながる

 国土交通省の公的不動産の合理的な所有・利用に関する研究会(以下PRE研)事務局を務める(株)日本総合研究所(東京)地域経営戦略グループディレクターの日吉淳氏にPRE戦略検討の目的や、その背景などを聞いた。―PRE研の目的って何?国土交通省は地方の「塩漬け」になっているような不動産を市場に排出することで不動産活性化を図ろうとしている。同省は18年度〜19年度で企業不動産の検討を行い、(結果を)ガイドライン・手引きにまとめた。19年度〜20年度で対象を公的不動産に定め検討を進めている。国の資産は方向を示している。地方自治体の資産が問題で、この有効活用を推進したい。

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飛騨高山ふるさと基金創設
寄附金を募集中

 岐阜県高山市は、ふるさと納税制度(※)開始に伴い「飛騨高山ふるさと基金」を創設、寄附を募集している。「基金」は、歴史・文化の次世代への継承、ふるさとの原風景保全、飛騨高山ブランドの発信、まちづくりなどをテーマとした事業資金にあてる。基金原資として市はまず1億円を投入、さらに寄附金額と同額を基金へ積み立てていく。寄附金受け入れ先は「飛騨高山ふるさと基金」。詳細はwww.city.takaya.lg.jp/に。

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地方自治法上の制約などあり

 新潟県は、東京都北区滝野川に所有していた職員宿舎不動産(築33年の宿舎2棟と2864uの土地)を対象に開発事業者を公募した。条件は、資産有効活用(所有権移転と不動産証券化)、老朽化した施設に代わる宿舎の確保、不動産売却益確保。手続きを経て14の事業者から応募があり、結果、提案金額が1番の会社が選定された。応募者が提案した内容は、多くがマンション(12事業者)で一部が高齢者介護施設(2事業者)だった。選定された事業者は潟c潟cg(東京都渋谷区※のこり13事業は非公開)。提案内容は分譲住宅1棟(地上5階、地下1階、69戸)と賃貸住宅1棟(地上7階、20戸)。証券化スキームは、同社が組成したSPV(特定目的事業体)が証券を発行することで資金を調達し、同金額で不動産対価を新潟県へ支払う。不動産は信託受益権(信託銀行に信託する)の形でSPVが購入する(1面図参照)。新たに開発される職員宿舎の賃料2億円と、SPVの不動産対価である27億円を相殺した25億円が、19年3月、モリモトから新潟県に支払われた。※(株)モリモト=資本金57億7176万円、売上高1176億円(連結、2008年3月末)。

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投稿者 machizukuri : 更新日2008年06月15日 | コメント (0)

2008年06月05日

第178号

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帰宅困難者を救え
常用と非常用の融合が「鍵」

 震度6強の首都直下地震が発生した場合、都心の一部主要道路は大量の帰宅困難者で「満員電車状態」になる――。政府の中央防災会議がまとめた帰宅困難者のシミュレーションだ。近年の防災計画で急浮上した帰宅困難者問題。全国、そして世界から人が集まる東京都では、首都直下地震が正午に発生した場合、最大390万人の帰宅困難者が発生することが予測されている。問題の解決には、彼らが一定期間、街にとどまることができるインフラ整備が不可欠だ。鍵となるのは、防災のための「莫大な投資」ではなく、日常的に使っている設備などをいかに被災時に有効利用するか発想の転換だ。例えば、NTT回線が被災で使えなくなった場合に、既設のケーブルテレビ網を通信手段にする、あるいは大型ビルで取り入れられている省エネのためのNAS電池(※次頁)を被災時の非常用電源として活用するなど。財団法人都市防災研究所(東京都千代田区)ではこのほど「DCPの時代〜移動市民の防災論〜」と題したシンポジウムを都内で開き、帰宅困難者問題の解決に向けたさまざまな研究成果を発表した。DCP(街の継続計画)とは何か、常用と非常用の融合の可能性は。東京駅周辺で始まっている新たな防災の取り組みを紹介する。

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都市防災研究所シンポジウムより
早稲田大学特命教授・伊藤滋氏講演ほか

 首都直下地震が発生した場合、東京23区でかなりの帰宅困難者が発生するが、その中でも外国から来ている観光客や、県外から出張中のビジネスマン、そのほか近県から買い物に訪れている人など50万人が帰宅困難者問題の中核になると思う。近県からの通勤者については、自分の会社の中にとどまってもらうことである程度の整理はできる。問題はこの50万人をどうするか。場合によっては13DCP施設連携イメージ出展:都市防災研究所シンポジウムより週間ぐらい東京で手当てをしなくてはいけない。彼らが「自分は大丈夫だ」とか「怪我をして病院に入ってしまった」などの連絡を取りたいというときは、それを助けられる仕組みがなくてはいけないし、私たちは今のうちにそのことを考えておく必要がある。NTTの回線が使えないことも想定して、例えば鉄道電話のようなものを使うとか、ケーブルテレビの通信網をネットワークで全国に結びつけるなどの代替機能を確保しておくことが重要だ。

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安全・安心で街づくり促進
工場の移転跡地を防災公園に

 自治体が企業誘致に力を入れる一方で、企業の遊休資産の見直しなどにより、地域から出て行ってしまう工場も多い。多くの場合、その跡地の活用が地域活性化の課題となる。千葉県市川市では、大手企業の工場移転による2.8haという広大な土地を、防災公園とすることで地域の魅力を高めている。千葉県市川市にある大洲防災公園は、都市基盤整備公団(現都市機構)が事業主体となって防災公園と周辺市街地を一体的に整備する「防災公園街区整備事業」(※)の第1号案件となった公園だ。平成12年11月に住民による整備検討会が発足、平成14年2月に都市公園事業として承認され、同年11月に着工、平成16年3月竣工、翌4月11日に開園した。市川市は、国内でも特に活発な地震発生地域である南関東地域に位置することから、過去には「元禄地震(M8.2)/1703年」や「関東大震災(M7.9)/1923年」、東京・千葉県境付近を震源とする中規模直下型地震タイプの「安政江戸地震(M6.9)/1855年」などにより大きな被害を受けた歴史を持つ。さらに、公園の周辺は、昭和30年代からの高度経済成長期に市街化が著しく進み、都心に近いという利便性から工場の立地が多く、木造住宅地も密集し、かねてから安全で快適な街づくりが課題となっていた。

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シリーズ 地方政治と先進的まちづくり
朝ごはんを食べよう

 読者に質問である。次の内容を規定した条例があると思われるだろうか。「O」か「X」の二者択一で考えてもらいたい。朝ごはんの重要性を再認識し、地方自治体は「朝ごはん運動推進本部」を設置し、朝ごはん運動を進めている。今回は一問のみである。回答は「O」である。鶴田町(青森県)が「鶴田町朝ごはん条例」を制定している。鶴田町条例は「この条例は、鶴の里健康長寿の町宣言に基づき、米文化の継承を通して正しい食習慣の普及と健康増進を図るため、鶴田町における朝ごはん運動についての基本方針を定め併せて町長、町民、関係機関及び関係団体等の責務を明らかにすることにより、総合的かつ計画的に運動を推進し、もって、21世紀の健康長寿目標を達成することを目的とする」(第1条)を基調として進められている。鶴田町条例は、単なる思いつきで登場したものではない。同町は2000年に「鶴の里健康長寿の町」を宣言した。そして町内の子どもを対象に健康調査を実施したところ、約1割が朝食を取らず、肥満など身体の不調の原因となっていることが判明した。そこで食生活改善や食育推進を目的とするため、鶴田町条例を制定するにいたった。

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生命の次に求められる4つの機能

 DCPとは、DistrictContinuity Planの略で、直訳すると「街の継続計画」。企業の間で定着しはじめた事業継続計画(BCP)がビジネスの継続を目的としているのに対し、DCPは街そのものの機能を被災後も維持させることを目標に掲げる。帰宅困難者を救うには、彼らを一定期間でも街にとどめられる最低限のインフラが必要になるとの考えから、財団法人都市防災研究所が新しく打ち出した概念だ。同研究所では、特に重要になる街の機能として@情報を集めるための通信機能Aこうした通信機能をできるだけ長時間に、また多人数に使用してもらうためのエネルギー源「電気」B市民の短期生活を支える装備としてのトイレ、そしてこれらのインフラを日頃から維持・管理するC担い手の確保―の4つの機能を挙げる。

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投稿者 machizukuri : 更新日2008年06月05日 | コメント (0)